診断の大切さ
現在の矯正は高度にメカニクス化された優れた既製品が大量にある。この既製品をいかにうまく使用するかということである。手を加えるにしても、その持っている素材としての長所を伸ばすことで、欠点の部分だけを補うことで実現できる。それほどシンプル化されてきている。一番大切なことは診断力ということになる。正しい診断を下すことができなければ、宝の持ち腐れと化すだろう。正しい診断をすることができれば、どこに問題点があるのかが分かる。問題点をあぶり出すことが、診断の大きな目的なのである。矯正治療を行わなければならないような異常はどこに問題があるのかということである。どこに原因があり、現在はどのような形で現れているのかということだ。それを分析してゆくことになる。分析することによって、どのように治すのかというゴールの目標と一体化できる。このような作業が完成すれば、既製のメカニズムを使用すればよい。もうほとんど完成したようなものだ。このように、現在の矯正治療は、職人芸から知能芸へと変化している。従来のように、セファログラムを一番大切なものと考え、トレースして、下顎切歯軸を頼りに作図をする。しかも、それを元にして、ワイヤーベンディングを加える。クロージング用だとかオープン用だといって、理由もなく複雑なベンディングのトレーニングをする。中には、千本ワイヤーを曲げて練習しろという者まで現れる。大学の矯正教室に残ってもベンディングは基本だと、一年間に渡りベンディングばかり行っている。こういうのが日本の現状なのである。アメリカがこういうことをしていたのは、数十年前のことである。1980年からのアメリカの矯正の変化はすばらしい。フッ素によるカリエス予防が完成した結果、従来型の補綴を中心とした歯科経営が成り立たなくなったということもある。一般臨床医であるGPが矯正分野に流れ込んできたのである。1980年からレーガン大統領の出現により、強いアメリカへの復活という経済的に豊かになったという側面もある。その上、ソ連との宇宙開発競争により、NASAの新しくすばらしい技術開発力である。NASAで開発し、民間で使用できるものは開放するという政策の元でNiTiワイヤーなどが使用することができるようになった。カーナビもコンピューターも全て、NASAの開発したものと軍事用のものとである。このように、NASAのすばらしい技術開発と強いアメリカという経済的な豊かさは、美への投資へ国民の目が向いた。今では、子供の75%が矯正を行うと言われるほどになっている。そのように、矯正市場の拡大は、矯正テクニックの開発にも進んだ。舌側矯正やストレートワイヤー法の開発などがそれである。従来からのツィード法やベッグ法もそれなりに変化をしなくてはならなかった。このように、1980年からのアメリカの矯正歯科は、多様性を増して、世界一の技術立国のすばらしいテクニック化しているのである。この恩恵は、感謝しなければならない。新しい技術や器材は、日本に居ては手にも入らないし分からない。アメリカに目を向け、そのものに私のオリジナル制を加味したものが、シンプルにして安全確実なテクニックのスーパーモダン矯正学なのである。現在あるインプラント矯正まで含め、全てのテクニックの長所を組み合わせたものと思って頂いてよい。長所を組み合わせる中に、DBAのアイディアを組み込んでいるということだ。このようなテクニックだから、各テクニックの短所は消えている。
長所のエッシェンシャルなテクニックがスーパーモダン矯正学であり、その言葉どおりなのだ。
GPである一般開業医こそ、このテクニックの旗手となれるし、それによって国民の医療と福祉に貢献して行きたいものである。このスーパーモダン矯正がGPのための総合的な本格矯正である。従来の矯正専門という人達の矯正は成人矯正を対象としていないということだ。成人矯正の本格矯正こそ最高峰の矯正である。
成人矯正とは20歳以上の年齢の人の矯正であり、上限はない。これも包括的な歯科治療ができない人には無理であり、GPこそ本格成人矯正のできる資格がある。(DBAより)
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