抜歯基準への疑問Ⅱ△セファロ分析△★エピローグ★ | きたざわ歯科 かみあわせ研究所
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抜歯基準への疑問Ⅱ△セファロ分析△★エピローグ★


抜歯基準への疑問Ⅱ△セファロ分析△★エピローグ★

(DBAより)

抜歯基準への疑問:ツイードの抜歯基準には大きな誤りがある。それはセファロが距離の測定を正しくできないということにも関連しているのであるが、楕円形の歯列弓を直線になおし計測していることである。正しい距離が出ていないものを作図によって計算すること自体がおかしなことであり、誤っている方法なのである。直角三角形における斜辺と他の辺とが同じという者がいたら笑われる話になるであろう。しかし、それと等しいことを言っているのである。しかも歯列弓は楕円形である。この楕円形における前歯部だけ円形に近づけるとかすれば1ミリや2ミリは確保できることになっている。したがってアメリカにおいても、かつてスタンダードといわれていた形態を捨て、円形アーチを用いることになってしまった。このようにセファロを用いて抜歯基準とすること自体に大きな誤りを生じさせている。臼歯部の側方拡大は害はあっても益はない行為である。前歯部は円形であるから、歯槽骨の中で前後的な動きに変化しているし、そう生というものを正しい円に整える作業であるから、抜歯さえしなければリラップスは最小限に押さえることができる。セファロを用いて抜歯基準とすれば80%もの症例で抜歯しなければなくなってしまう。これは異常な事だ。抜歯をすることによって、大きな歯間隙ができ、成人矯正においてはこの隙間の封鎖は何らかの犠牲なくしては成り立たない。一番の犠牲は咬み合わせである。上下の歯は完全に咬み合わないものになる。それは抜歯と非抜歯とにおけるアンギュレーションの数字を見ても分かるし、実際の症例を見ても分かる。そこで行われていることは、歯軸を傾斜させているのである。傾斜移動によって誤魔化していると言ってよいであろう。理想咬合どころか正常咬合も確保できないものが非常に多い。これをもって咬合を正常にしたと思っているなら、咬み合わせということを基本にした咬合ということがいかに分かっていないということである。基本的には、歯科における咬合というものは臼歯部の咬み合うという咬み合わせと、前歯部の歯列弓の乱れを正しくするというアーチ型の問題を解決することにある。臼歯部の咬み合わせを犠牲にして、前歯部の歯列弓のアーチ型を正したから正常咬合というのはあまりにも問題があるだろう。この両方をクリアしてこそ、本当の咬合を語ることができる。まやかしの咬み合わせといわれても、今までの考え方ではおかしいということは明白である。この前歯部の歯列弓のアーチ型の正しさと臼歯部の咬み合わせの維持を実現することは正しい方法さえ行えば実現できる話なのである。(DBAより)

DBAのまえがき(DBA主幹 阿部和弘先生の言葉)より
「このセファロ読本は一般開業医のためのものです。私は一般開業医こそ矯正に適した歯科医師であると考えています。全ての一般歯科開業医に矯正治療ができるようになっていただきたいと考えています。矯正治療を始めるにあたって、矯正にはセファロがどうしても必要なのだという考え方が蔓延している現状の中で、はたしてそうなのだろうかということです。分かりやすいセファロの本をと思っているのは、そのことをくつがえす必要があるからです。この「セファロ読本」は一般歯科開業医のための入門書として書き上げたつもりですが、完成してみると、これ以上詳しい内容の本は、現在ないことが分かりました。代表的なセファロの方法を全て載せてあるということも画期的なことです。このようにして、セファロ読本が出来上がり、再び読み返してみても、やはりセファロの重要性は感じることができません。
セファロは脇役であり、パノラマ以下の評価しかできないのです。
一般歯科開業医の人が矯正をするのにセファロがぜひとも必要とはとても思えません。
しかし、何故必要ないのかを知るためにも逆説的な言い方ですが、セファロのことを知っておくことも良いでしょう。無知と英知では英知が勝っています。知らないより、知っておくのがよいのです。使うか使わないかということは知っておいて初めて判断ができます。そういうことをまず理解していただきたいと思います。一般歯科開業医が矯正をするとき、ぜひとも必要なことは診断を正しくできるということです。診断の正しいことこそ大切なことです。
治療テクニックになりますが、顔の中心が美人の中心だということです。したがって、顔の中心と上顎の歯の中心との一致が必要なのです。上顎の正中線と下顎の正中線を合わせても、顔の中心に合っていないと、顔はゆがんでしまいます。 第一大臼歯をクラス1にすることも必要です。特に10歳までの子供の時に、必ずクラス1の咬合の形にすることです。そして、料金を明確にすることです。信頼こそ大切なことなのです。上顎と下顎の正中線を無理矢理に合わせることは、どうでもよい事です。このことは顔の中心に合わせることが大切で、上下顎の正中の一致はできればということぐらいのことで絶対という考えに立たないことです。
してはいけないことは小臼歯を4本抜歯することや、側方拡大による方法です。これはルンドストロームの1925年発表の歯槽基底論で解決済みのことです。それに逆行するテクニックではうまく行かないでしょう。ブローディのバクシネーターの理論も同じ様なことを証明しています。
ヘッドギヤーを使用してはいけません。このような中で、成人矯正では小臼歯の4本抜歯は行ってはならないことなのです。このような正しい考えの中で一般歯科開業医が矯正を行えば審美だけでなく機能的にも必ず社会に奉仕し、貢献できることになります。一般歯科開業医こそ、矯正に適した人であると、大いなる自信を持っていただきたいと思います。」