「歯科医院の倒産件数が過去最多!」 | きたざわ歯科 かみあわせ研究所
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「歯科医院の倒産件数が過去最多!」


「歯科医院の倒産件数が過去最多!

超大型倒産も相次ぐ深刻な事情

【帝国データバンクが解説】

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歯科医院写真はイメージです Photo:PIXTA

10月8日に帝国データバンクが発表した2024年9月の全国企業倒産(法的整理かつ負債1000万円以上)は741件となり29カ月連続で前年同月を上回った。このままのペースで推移し続けると2024年の通年件数は1万100件ほどになる見通しだ。1万件を超えれば2013年(1万332件)以来、11年ぶりとなる。そうしたなかで、倒産件数の増加が目立っている業種のひとつが「歯科医院」だ。今回は倒産が急増している歯科医院の倒産動向や経営環境について解説する。(帝国データバンク情報統括部情報取材課長 阿部成伸)

歯科医院の倒産件数が
過去最多を更新の見通し

2024年の歯科医院経営事業者(法人および個人経営)の倒産は9月末時点で23件となり、過去最多となっている2018年(通年で23件)に並んだ。今後も発生ペースが衰えなければ、10月中にも過去最多を更新し、通年件数は30件ほどになる見通しだ。

今年発生した23件を分析すると、4月を除く全ての月で倒産が発生し、2月、3月、7月は各月5件発生。また、倒産態様はすべて「破産」で、都道府県別では、東京(6件)、大阪、福岡(各3件)、千葉、兵庫(各2件)と続き12都府県で発生した。

図表:歯科医院経営事業者の倒産件数推移(2000年~2024年9月)

負債10億円以上の
超大型倒産が相次ぐ

歯科医院は同じ医療機関である病院や診療所と比べて施設や事業規模が小さいことから、その分借入金も少なく、倒産時の負債は大半が数千万円程度だ。

実際、2000年1月から2024年9月の約25年間に発生した歯科医院経営事業者の倒産(307件)を分析すると、負債1億円未満が199件(構成比64.8%)を占めた一方、負債5億円以上は13件。そのうち10億円以上はわずか6件だった。

つまり、負債が5億円を超えると「大型倒産」、10億円を超えると「超大型倒産」と言える業界なのだ。

そうしたなか、2024年は9月までに高橋デンタルオフィス(千葉、破産、負債19億円)と医療法人社団綺整会(東京、破産、負債11億6000万円)の超大型倒産が2件も発生した。

高橋デンタルオフィスは、2002年8月に個人創業。インプラント治療と矯正を専門に手がけて2019年12月期には年収入高約1億7000万円を上げていたが、近年は新型コロナの影響で受診者が減少。そうしたなか、治療が進まないとして患者が前払い治療費の返還を求める訴訟に発展していたほか、治療費とは別に患者に投資や融資話を持ちかけ、この返還を求める訴訟を起こされるなど、信用が低下。2023年12月末までに実質的な診療を停止し、今年1月31日に自己破産を申請した。

医療法人社団綺整会は、 2012年2月に設立。横浜・新宿・名古屋・大阪に歯科医院を展開し、キレイライン矯正と呼ばれるマウスピースを使用した歯列矯正を主力に手がけ、2021年2月期には年収入高約27億7300万円を計上していた。しかし、2023年9月にグループ中核法人の医療法人社団友伸會(東京都豊島区、負債37億円)が民事再生法の適用を申請したことで、事業環境が大幅に悪化。運営する歯科医院を閉院し、2024年3月15日に自己破産を申請。同じく歯科医院を経営する関連法人4社も同様の措置となった。

なお、高橋デンタルオフィスの負債19億円は、病院経営事業者、クリニック経営事業者を含む2024年の医療機関の倒産の中で最大となっている。