「週刊文春」(6月12日号)が報じた、JA関連団体から野村哲郎元農相(81)への約7000万円にものぼる巨額献金の実態。「週刊文春」はこれまでにも、JA、農水族、農水省の深い癒着関係を報じてきた。
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天下りに巨額献金…癒着の実態とは
政府は今春から備蓄米の放出を始めたが、スーパーに並ぶ5キロ入りのコメの多くは4000円超え。前年のほぼ2倍で推移している。
「JAの要望に基づき、コメの生産量をコントロールする減反政策を実質的に継続してきた結果、高水準の米価が維持されることになりました」(農水省関係者)
なぜ、農水省はJAの要望を受け入れてきたのか。
「JAの関連団体が事実上、農水官僚の天下り先になっているからです。この癒着の構図が結果的にコメ不足を招いていると言っていいでしょう」(同前)
そもそも2005年には、時の小泉純一郎政権が全農改革に着手。農水省は「全農改革チーム」を発足させ、ワーキンググループの資料では〈農林水産省の幹部職員が全農の役員に就職するという、いわゆる「天下り」は今後とも行わないということをこの際明言する〉などと宣言していた。
農水省職員28人がJA関連団体へ天下り
ところが、内閣官房の公表資料を精査すると、確認できる2009年以降だけで、28人の農水省職員がJAの関連団体に再就職していることが判明したのだ。これについて、農水省に見解を尋ねたところ、以下のように回答した(「週刊文春」3月13日号)。
――なぜ、根絶宣言をしたにもかかわらず、JA関連団体への天下りを再開したのか。
「農林水産省は、経済事業のあり方の検討方向に関する検討の中で、『農林水産省の幹部職員が全農の役員に就職するという、いわゆる「天下り」は今後とも行わないということをこの際明言する』としており、その後、平成19年(2007年)の国家公務員法改正によって現職職員による再就職あっせんが全面禁止されたことから、現職職員によるあっせんは行っておりません。このため、農林水産省は、個々の退職者の再就職の経緯について、国家公務員法に基づく再就職に係る届出制度の対象である離職後2年以内のOBについては届出の範囲内で承知していますが、それ以外のOBについては承知していません」
――減反政策を推進する農水省とJAの癒着がコメ不足を加速させているのでは?
「いわゆる減反政策については、平成30年(2018年)産より終了し、現在は、農業者や産地の自らの経営判断による『需要に応じた生産』を基本としているため、ご指摘には当たりません」