「ヒトの歯を培養する研究、実用化に向け前進」2025/10/24 | きたざわ歯科 かみあわせ研究所
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「ヒトの歯を培養する研究、実用化に向け前進」2025/10/24


 

英キングス・カレッジ・ロンドンの研究室で培養された歯のオルガノイド/Dr. Xuechen Zhang

英キングス・カレッジ・ロンドンの研究室で培養された歯のオルガノイド/Dr. Xuechen Zhang

(CNN) 英キングス・カレッジ・ロンドンの再生歯科大学院課程の責任者アナ・アンゲロバ・バルポーニ氏は、約20年にわたり研究室で歯を培養する実験に取り組んでいる。同氏は2013年にヒトとマウスの細胞を使った歯の培養に成功したチームの一員だった。

今年、その成果を基にバルポーニ氏が進めた研究で、研究室で培養中の歯を埋め込む素材に関して飛躍的な進歩があった。この素材は、口腔(こうくう)内で生物学的な歯が実際に成長する環境をよりうまく模倣している。これは、マウスの細胞をヒトの細胞に置き換え、刺激を与えて歯を形成させるための重要なステップとなる。

バルポーニ氏によると、研究室で歯を培養するという発想は1980年代にさかのぼる。同氏らが10年以上前に開発した歯は、成人の歯肉細胞と、マウス胚(はい)から採取した「前駆」歯細胞を組み合わせて初めて作られたものだった。

バルポーニ氏は研究室の環境で歯を成長させる要素について「三脚のようなもの」と例える。「2種類の細胞が会話のようなものを交わしながら歯を作る。私たちはそれを実現する環境を用意している」

アナ・アンゲロバ・バルポーニ氏とシュエチェン・ジャン氏/Liqun Xu
アナ・アンゲロバ・バルポーニ氏とシュエチェン・ジャン氏/Liqun Xu

研究者たちが「足場」と呼ぶ環境は、研究室で歯を培養するのに欠かせないものだ。バルポーニ氏はこれを最新の研究テーマとしている。同氏は13年当時、たんぱく質の一種であるコラーゲンでできた足場を用いていたが、現在は水分含有量の高いポリマーの一種であるヒドロゲルを使用しているという。キングス・カレッジ・ロンドン博士課程の学生で研究の共著者であるシュエチェン・ジャン氏によると「まずマウスの胚から細胞を採取し、それらを混ぜ合わせてから遠心分離し、小さな細胞ペレットを作る。そしてこの細胞ペレットをヒドロゲルの中に注入し、8日間ほど培養する」。この研究は環境に焦点を当てているため、ヒト細胞は不要だ。

8日後には、ヒドロゲルの中に歯のような構造が形成される。13年の研究では、この「歯原基」をマウスに移植し、歯根とエナメル質が成長する歯の構造へと発達させた。

研究室で培養された歯を人間に利用できるようになるまでには、まだ多くの課題が残る。それでもこの新たな素材は、歯を作る細胞間の「対話」を改善することで、課題を解決するのに役立つ。バルポーニ氏はそう語る。

研究者らは、マウスの胚細胞を成人の細胞に置き換える方法はまだ正確には把握していないが、それが解決された先にバルポーニ氏は研究室培養の歯を日常の歯科治療に組み込む方法として二通りを考えている。一つは、歯をある発達段階まで成長させてから、失われた歯があった場所(歯槽)に埋め込む方法。もう一つは歯を完全に成長させてから、外科的に移植する方法だ。どちらの方法がより現実的かを判断するのは時期尚早だとバルポーニ氏は指摘する。

 

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