「健康のために何をしていますか?」 こう聞かれたら、多くの人は「運動」「食事」「睡眠」と答えるでしょう。 しかし2026年、ここに新しい視点が加わろうとしています。
それは、**「口腔ケア」**です。
これまで「虫歯予防」や「エチケット」として捉えられてきた歯磨きが、今、**「脳の健康を守るための科学的アプローチ」**の一つとして注目されています。
今回は、ウェルネス界のホットワード**
「口腔マイクロバイオーム(Oral-Brain Axis)」**について、
2025年の最新論文(Gut Microbes 掲載)
のエビデンスを基に解説します。
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「美容」から「脳科学」へ。歯科ケアのパラダイムシフト
数年前、「腸活(腸脳相関)」が話題になりました。腸内環境を整えることがメンタルヘルスや脳機能に良い影響を与えるという考え方は、今や定着しつつあります。 そして次に注目されているのが、消化管の入り口である「口」です。
2026年のウェルネス・トレンドでは、
歯科ケアが**「美容(Beauty)」の文脈から
「脳の健康(Neuro Health)」**の文脈へと広がりを見せています。
これまで: 白い歯、口臭がない=清潔感、美しさ
これから: 健康な歯茎、正常な細菌叢=脳や全身の健康管理の一環
「脳のパフォーマンス維持のために、歯医者に行く」
そんな考え方がスタンダードになる未来が近づいています。
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最新研究が示唆する「口から脳への影響」
「口の中の菌が、どうやって遠く離れた脳に影響するの?」 -
と不思議に思うかもしれません。
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F. Clasen氏らの研究チームが発表した論文
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『Microbiome signatures of virulence in the oral-gut-brain axis…』は、
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そのメカニズムの一端を明らかにしました。
① 口の菌が腸へ移動する(Oral-gut translocation)
研究によると、認知機能が低下している患者(パーキンソン病性認知症など)の腸内サンプルから、「本来は口にいるはずの細菌」が多く検出されました。 通常、健康な状態であればバリア機能が働きますが、口腔内細菌叢の乱れ(ディスバイオーシス)などが生じると、菌が腸へ移動・定着してしまう**「腸の口腔化」**が起こりやすくなると考えられます。
② 特定された関連細菌
特に注目すべきは、**『Porphyromonas endodontalis(ポルフィロモナス・エンドドンタリス)』**という細菌です。 これは歯周病などに関連する菌ですが、この菌が腸内で検出されることと、認知機能の低下には相関関係(関連性)が認められました。
③ 「炎症」が脳を刺激する可能性
腸に移動した口の菌たちは、腸内で「病原性因子」に関連する遺伝子発現を高めていることがわかりました。 これが腸内で炎症を引き起こし、その炎症シグナルが血流などを介して脳に伝わることで、**神経炎症(Neuroinflammation)**を誘発したり、脳の機能に影響を与えたりする可能性が示唆されています。
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「守る菌」との関係
さらに興味深いことに、口の細菌が腸で検出されるケースでは、腸の健康を守る**「酪酸産生菌(Faecalibacteriumなど)」が減少**している傾向が見られました。 酪酸は神経細胞を保護する働きも期待される物質です。口腔ケア不足は、リスク因子を増やすだけでなく、防御因子を減らすことにも繋がる可能性があります。 -
私たちが今すぐできる「ニューロヘルス」ケア
「脳の健康は歯磨きから始まるかもしれない」。 この視点を、毎日の習慣に取り入れてみましょう。


