・・・【Ⅰ】「NYニューヨークマフィア(米国)」・・・副島隆彦が裏社会の闇を抉(えぐ)り出して一般人向けに解説しています。
副島隆彦が裏社会の闇を抉(えぐ)り出して一般人向けに解説しています。
すごく長いのですが、是非最後まで(ずっと下まで)お読みください。
・・・「エイペックス(国内)」「NYニューヨークマフィア(米国)」・・・
「
【Ⅰ】
「2205」 NYマフィア100年の全体像を
日本人に分かるように分説明する
(第1回・全2回)
2025年6月23日
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- 「2205」 NYマフィア100年の全体像を日本人に分かるように分説明する(第1回・全2回) 2025年6月23日
副島隆彦です。今日は2025年6月23日です。
今回から、「NYマフィア100年の全体像」について説明する。私はアメリカ合衆国のマフィアたちの、その全体の姿を日本人にわかるように説明したいとずっと思っていた。
それで、それはたった100年間のことなんだ。
映画「アプレンティス」が今年(2025年)の1月に、日本では半年遅れで公開されたが、私はそれを見て、ようやく全体像が分かった。このことは既に「今日のぼやき」に、「映画『アプレンティス』で若いトランプが分かる」として書いた。
この映画「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方(THE APPRENTICE)」は、ドナルド・トランプが25歳(1971年)の時からずっと、ロイ・コーン(Roy Marcus Cohn、1927-1986年、59歳で死)という極悪人の反共右翼の弁護士に育てられたこと、都市型デベロッパーとして大型高層ビルを次々と建てて、そしてロイ・コーンがエイズで死ぬぐらいまでを描いている。

ドナルド・トランプ(右)とロイ・コーン
この映画の中に「スタジオ54」とか「21クラブ」が出てきた。これらは表向きは有名なNYのクラブやディスコだが、しかしその裏側はNYマフィアの本部である。それについても、もう書いた。そこでトランプはジョン・ゴッティ(John Joseph Gotti, Jr、1940-2002年、61歳で死)という ”NYの最後の大物のマフィアのドン” とつき合った。さっき言ったロイ・コーンが、ジョン・ゴッティがやっていた合法ビジネスの顧問弁護士だった。

映画「アプレンティス」のポスター

スタジオ54

21クラブ
1992年にジョン・ゴッティが捕まって、その後10年間は連邦刑務所にいて2002年に死ぬが、この1992年にNYマフィアは終わったと言われている。その後のNYマフィアたちは、合法ビジネスで生き延びた。トランプは、まさしくそういう人間たちの真っただ中で生きてきた人だ。

ジョン・ゴッティ
日本人にはNYマフィアの話なんかよく分からない。ただ5大ファミリー、The Five Families という言葉だけは知っている。フランシス・コッポラ監督(Francis Ford Coppola、1939年-、86歳)の「ゴッドファーザー」「ゴッドファーザー PART II」が、1970年と1972年で、それからパート3が1990年につくられて、それらの映画でNYマフィアのことを知るようになった。だけどもう、それ以上は何にも分からない。ここで私が日本人に初めて、がつんと全体像を教える。なぜなら私自身が、今回ようやく全体像をつかんだからだ。

フランシス・コッポラ

映画「ゴッドファーザー」のポスター
NYマフィアは、1891年に誕生した。そしてちょうど100年後の、前述した1992年に終わった。現在、騒がれているのは、中南米の麻薬(コカイン)カルテルのヒスパニック・マフィアである。
NYマフィアの創業者はジュゼッペ・モレロ(Giuseppe Morello、1867-1930、63歳で死)という。この名前を知らないといけない。モレロはイタリアのシシリー島のパレルモ出身だ。このパレルモ出身のイタリアマフィアがアメリカで大きく動いて ”血の盟脈” で大組織になっていった。

ジュゼッペ・モレロ
最初は、ニューヨークのマンハッタン地区(島)の南のほうのロウアー・マンハッタン(Lower Manhattan)で始まった。それからブルックリン地区(バーロウ)のほうにも広がっていく。
このジュゼッペ・モレロが、最初の大親分で非常に重要だ。ファミリー構成はパレルモ出身者が基本で、クライム・シンジケート(Crime Syndicate)とか呼ばれる組織をつくっていった。そしてこのモレロが1910年に捕まる(43歳)。1920年に出獄してきて、再び力を盛り返す。しかしその時には、他の親分たちがすでにけんか(抗争)を始めていた。

マンハッタンとその南部
1920年にモレロが出てきた(1910年に捕まって1920年に出獄)ときに、禁酒法の時代が始まる。北カナダで密造してきた酒を、アメリカ国境線地帯を通って持ち込んで、これでマフィアたちが大きな利益を上げるわけだ。これと売春と覚醒剤と人殺しと賭博、そして酒。こういう組織犯罪がマフィアの収入源だ。
それで大事なのは、1929年から1931年までのカステランマレーゼ戦争(The Castellammarese War)だ。これから話すが、マッセリア、マランツァーノ・・・と次々にマフィアの大ボスが殺される事件の総称を、カステランマレーゼ戦争という。これはニューヨークを中心にしたマフィア間の激しい抗争ということになっている。
モレロの次の大親分がジョー・マッセリア(Giuseppe “Joe” Masseria、1886-1931年、45歳で死)だ。カステランマレーゼ戦争で、まず、このジュゼッペ・マッセリアが殺される(1931年4月15日)。
マッセリアを殺したのが3番目の大物、サルヴァトーレ・マランツァーノ(Salvatore Maranzano、1886-1931年、45歳で死)だ。しかしその5か月後、このマランツァーノも殺された(1931年9月)。

ジュゼッペ・マッセリア

サルヴァトーレ・マランツァーノ
こういう話がずっと続くと、私でも本当にこんがらがるんだ。私は昨日、全体像を説明するために1から番号をずっと振っていったんだけど、もう一人、4番目の人物でサルヴァトーレ・ダキーラ(Salvatore D’Aquila、1878-1928年、50歳で死)というのが頭角をあらわして大親分になる。それからダキーラと対抗したアル・ミネオ(Alfred Mineo、1880-1930年、50歳で死)――これはもう覚えなくていい――が出てきて、激しく襲撃合戦をやる。
一番大事なのはさっき言ったモレロの時代が終わって、次の大親分になったマッセリアが殺された事件だ。この現場にNYマフィア100年間の最重要人物、ラッキー・ルチアーノ(Charles “Lucky” Luciano、1897-1962年、64歳で死)がいたんだ。マッセリアが、他のマフィアの親分たち3人と、コニー・アイランドというニューヨークの、日本でいえば江ノ島みたいなところで酒を飲んでいるところを、襲撃されて殺された。同行していたラッキー・ルチアーノは、その襲撃のときにトイレに行っていたとされて、奇妙なことに生き延びている。他の3人の親分たちがマッセリアを殺して、コートを置き忘れたまま現場から逃げた、ということになっている。しかしそれは嘘なんだ。本当は、警察というか FBI がマッセリアを殺した。この真実を日本では誰も言わないことになっている。

サルヴァトーレ・ダキーラ

アル・ミネオ

ラッキー・ルチアーノ
次の大親分、マランツァーノは5か月で殺された。その次がラッキー・ルチアーノ。そしてこのラッキー・ルチアーノこそが、1931年から第二次世界大戦後までずっと大親分だ。この名前ぐらいは絶対に覚えなきゃいけない。なぜなら、このラッキー・ルチアーノこそが映画「ゴッドファーザー」のヴィトー・コルレオーネ、マイケルのお父さん のモデルだからだ。ただ、モデルは彼1人だけではない。このヴィトー・コルレオーネ、いわゆるゴッドファーザーの人物像は何名かの実際のマフィアがモデルになっていて混ざっている。

映画の中のヴィトー・コルレオーネ

カステランマレーゼ戦争の現場の様子
ニューヨークを中心にしたカステランマレーゼ戦争とは少し離れるが、シカゴのアル・カポネの話をしておく。1929年2月14日にシカゴで「聖バレンタインデーの Massacre(虐殺)」というのがあった。7人のマフィアが倉庫で密造酒を扱っていたところを襲われて、全員が横一列に並ばされて、警察官の「格好」をした6人組に殺された。この聖バレンタインデーの虐殺はものすごく有名だ。これを命令したのがアル・カポネ(Al Capone、1899-1947年、48歳で死)だ。本人はフロリダにいて、アリバイがあった。
アル・カポネが活躍したのは25歳から31歳まで、たった6~7年のことでしかない。最後の10年はもう刑務所で、48歳で死んだ。人気者で、まるでシカゴの市長だと言われて、警察官や裁判官たちまで買収して、かつテレビや週刊誌とかでも写真が堂々と出るぐらい有名人で民衆に人気があった。しかし、この「聖バレンタインデーの虐殺」をやっちゃって、一気に人気をなくして、後は犯罪者として嫌われた。刑務所に入ってからも梅毒で苦しんだ。最後の1年ぐらいはフロリダの島で病気療養しながら家族と暮らして、そして死んだ。

アル・カポネ
アル・カポネは「アンタッチャブル」というテレビドラマ(1959年から、日本では1961年から)で日本でも名が知られるようになった。脱税と売春の容疑だけがかけられてアメリカ財務省のエリオット・ネス(Eliot Ness、1903-1957年、54歳で死)というのが捜査の指揮をしたことになっている。本当は、こんな人物はいなかったんだが。

エリオット・ネス

ドラマ「アンタッチャブル」
このカポネよりも大親分なのが、ラッキー・ルチアーノだ。ニューヨークがシカゴより格が上。東京と大阪の関係だ。
カステランマレーゼ戦争と呼ばれている重要な抗争(殺し合い)に話を戻して、真実を話します。マッセリアが殺されて、その半年後には次の大親分のマランツァーノも殺された。そしてラッキー・ルチアーノが、その後の全体の大親分になった。それで真実は、そのルチアーノはアメリカ政府というか、アメリカの支配者たち、超財界人たちなどから操られていたんだ。アメリカのマフィアは彼らに操られながら生き延びた。このことも、誰も言わないことになっている。
それで、私が本当に怒っていることがある。マランツァーノが殺された日の夜を「シチリアの晩鐘の夜(Les vêpres siciliennes)」という。 超有名な最高級のオペラをつくったヴェルディ(Giuseppe Verdi、1813-1901年、87歳で死)のたしか8番目の作品が、「シチリアの晩鐘(Les Vepres siciliennes)」(1855年初演)だ。このヴェルディとワーグナー(Richard Wagner、1813-1883年、69歳で死)を知らなかったら、もうオペラの話なんかできないんだけど。「シチリアの晩鐘」という作品自体は、それほどの大作とはされていないが有名ではあって、シチリア島で起きた民衆反乱を描いた、要するに「皆殺し」の話です。 このオペラの名前がそのまま、マランツァーノが殺された事件の名前に使われた。なぜかというと、真実は、このマランツァーノが殺された当日の夜に、なんと90人ぐらいのマフィアの親分たちも各地で殺されているんだ。

シチリアの晩鐘の夜のリトグラフ

ジュゼッペ・ヴェルディ

リヒャルト・ワーグナー
しかし、今のウィキペディアでは「そんなもの(マフィアの親分の大量殺害)はなかった」としつこく書いている。虐殺があったことを隠している。なぜなら、このウィキペディアというのは CIA と FBI が運営管理しているメディアだからだ。彼らが秘密で持っていた膨大な情報を「もう秘密にしきれない」となって、インターネットの時代に表(おもて)に出しちゃったのがウィキペディアなんだ。だから、本当は有った大量虐殺事件をしつこく、無かった無かったと書いている。これ(虚偽の記載、歴史の偽造)は許されないことだ。 真実は90人ぐらいのマフィアの親分たちが、その夜にあちこちで、フィラデルフィアとかボストンとかで、殺されたのだ。
この親分というのはカポといいまして、ドンとか大ボスではないんだ。ボスなんだけど、カポというんだ。カポ(Capo)はイタリア語で、大幹部というそれくらいの意味だ。その人たちが大勢、殺された。それなのに、ウィキペディアは「そんなことは無かった、無かった」という。それはなぜかというと、その90人の各地のマフィアのボス(カポ)たちを1931年に殺したのは、アメリカの FBI や警察本部だからだ。それで、「そんな大量殺害など無かった」と言っているんだ。だから私は怒(おこ)っている。怒(いか)っている。
これを私は暴き立てないと気が済まない。副島隆彦には、歴史の偽造者たちに対する激しい憎しみがある。副島が日本で本当のことを書き続けて、一本の筋を通してきたからこそ歴史の全体像が見える。このことを私は体を張ってこの40年間やってきた。だから、副島がそう言う(書く)んだから真実はそうなんだ、信じなさいと言っても、全くもう誰も文句を言えないぐらいだ。多分、そういうことだ。
だからこそ、カステランマレーゼ戦争という名前に置きかえて、何か大変なマフィアの殺し合いがあったということにした。本当はこのラッキー・ルチアーノを育てるために、アメリカ支配層がマフィアの他の親分衆を皆殺しにした。マフィアの子分たちを全部、ラッキー・ルチアーノの言うことを聞くように仕向けて、そしてこのラッキー・ルチアーノをアメリカ政府が操った、ということです。 このラッキー・ルチアーノは最初のボスのモレロの系統だから、それでその系統の親分だったジュゼッペ・マッセリア(Giuseppe “Joe” Masseria、1886-1931年、45歳で死)が殺されたので、ルチアーノがその復讐をした、みたいな立派な話に置きかえてあるんだ。 他にもガリアーノ家とかマンガーノ家とかプロファチー家とか出てくると、もう大混乱を起こして日本人は理解できない。こういうナントカ家のことはもういい。
カステランマレーゼというのは、町の名前だ。同じシチリア島のパレルモよりも西にある町。イタリアマフィアは、シチリアから出てきた連中とそうではない非シチリア人とに分けられる。非シチリアだと、イタリア半島の足の先っちょのほうとか、あるいはナポリの今はカモッラといいますが、このナポリのマフィアも凶暴なんだ。今はこのカモッラが一番有名かもしれない。
「ザ・ソプラノズ」というテレビドラマが、アメリカで1999年にヒットした。このカモッラ、ナポリ出身のマィアたちの家族を描いた、やくざ者のテレビドラマを民衆は大好きだった。そこに出てくる、激しいお化粧をしたケバい女たちはバーやキャバレーの女上がりだから、下品な感じでたばこ吸ったり、足を投げ出したりする。自分の仲間のマフィアのところへ行って殴られたり、ぎゃあぎゃあ叫んだりする。こういうのが民衆は大好きなんだ。それが世界中に実在する自分たち人間の姿だから。

シシリー島の地図

映画「ザ・ソプラノズ」のポスター
ラッキー・ルチアーノは、今はルッケーゼ家とかガンビーノ家と言うが、ダキーラ家と対立していた。ここと仲が悪かったんだけど、何度も会議を開いて争いをおさめようという努力をした。こういうマフィアの会議に警察が踏み込んできて、親分たちが捕まった。
ところが捕まらないで、現場から堂々と大きな車で逃げ切る者もいた。つまり警察から情報が入っている者もいるわけだ。激しいマフィアの内部に潜り込んできているのは警察なんてものじゃなくて、警察を裏から操っている FBI だ。
FBI のフーヴァー長官(John Edgar Hoover、1895-1972年、77歳で死)は、5人の大統領たちを脅して、操ったといわれている。フーヴァーは、大統領や上院議員たちの電話を盗聴して彼らの弱みを握っていた。映画アプレンティスにもそういうシーンがある。フーヴァーはユダヤ系で、おかまで、これがトランプを育てたロイ・コーンの親分だ。トランプは20歳代のころからロイ・コーンに人生を教わって、高層ビルをどんどん建てて、不動産業者ではい上がった。だからそういう流れがある。

ジョン・エドガー・フーヴァー
そしてこのフーヴァーやロイ・コーンたちは、激しい反共産主義運動の英雄だ。ソビエト・ロシアの手先たちを摘発して、捕まえて裁判にかける。ローゼンバーグ夫婦は死刑になった。そういうことをやったのがフーヴァーとその子分のロイ・コーンだ。
当時はまだ電話線ですから、ワイヤータップ(wire tap)という方法で彼らは電話線を盗聴した。その電話会社ごと丸ごと買収しておいて、そして裁判官や上院議員や警察署長たちの金(カネ)の問題や弱みを握る。そしてゆする。そうやって、裁判で負けないようにするとか、ニューヨーク市で高層ビルを建てるときに大きな補助金を出させるとか、環境問題で文句を言わせないとか、そういうことをしていた。だから悪(あく)といえば悪だけど、この悪の中で人間は組織団体として生きている。ちっぽけな善意の労働者階級や、ただの小市民といいますが中産階級の人間たちは、そういうのには近寄らない、危ないから。

ローゼンバーグ夫婦
例えば日本の場合でも、今の山口組の6代目は名古屋弘道(こうどう)会といって、組長である 司忍(つかさしのぶ、1942年-、83歳)の本部は名古屋だ。もう神戸に本部はない。神戸山口組には、「もう命がけで殺しに行ってやる」みたいなのが200人ぐらい残っているけど、もう、名古屋弘道会に移っちゃった。あと髙山清司(たかやまきよし、1947年-、77歳)というのがいて、本当は司忍よりも力があると言われている。
それに対して関東やくざである住吉連合というのがあって、これはフーテンの寅さんの車寅次郎たちみたいなテキ屋で、全国のお祭りの夜店とか屋台とかの流れから出てきている。

司忍

髙山清司

車寅次郎(渥美清)
博徒、ばくち打ちの系統が稲川会。初代組長が稲川聖城(いながわせいじょう、1914-2007年、93歳で死)だ。この稲川会系は今もある。 他には銀座を仕切っている福田組、福田総業というのが、あれは住吉連合系だ。私が菅義偉(すがよしひで、1948年-、76歳)と最初におしゃべりしたとき、あれは森喜朗(もりよしろう、1937年-、87歳)が主催の秘密の会だか何だかに呼ばれたときだ。私は菅義偉に対して「あなたは住吉連合の方ですか」と、初対面で名刺を渡されるときに言ってしまって、「何を言うんだね、君は」という顔をされた。恐ろしい顔だった。まあいいや、今はもうこんな話はしない。

稲川聖城

菅義偉

森喜朗
ラッキー・ルチアーノに話を戻すと、彼が、日本でいえば山口組3代目 田岡一雄(たおかかずお、1913-1981年、68歳で死)と全く一緒なんだ。これはもう、今までに私が出した本に書いた。 イタリア、シシリー出身のマフィアたちをアメリカ政府はどうしても自分たちの味方につけなきゃいけなかった。戦争協力させるために。なぜなら、1954年の映画「波止場」でもそうだが、下層白人であるイタリア系の沖仲仕(おきなかし)たち、船乗りたちが重要だから。船が何千隻、小さい船までを入れれば何万隻もあって、それの船乗りたちはイタリア系が多い。今もそうだ。
あと、ギリシャ人の大船主たちがいる。その中のひとりが、アリストテレス・オナシス(Aristotle Onassis、1906-1975年、69歳で死)だ。この男の愛人だったけどかわいそうな目に遭ったのが、今でも世界一のオペラ歌手のマドンナであるマリア・カラス(Maria Callas、1923-1977年、53歳で死)だ。

田岡一雄

映画「波止場」のワンシーン

アリストテレス・オナシス

マリア・カラス
当時のギリシャは造船業の国だ。1960年代にオナシスは何百隻もの船を持つ大船主になって、世界一の金持ちになった時期がある。その船で、船乗りや沖仲仕などの下層の仕事をしていたのがイタリア人たちだ。
私は自分の政治映画評論本5冊の中で、恐らく10本以上のマフィア映画を紹介している。ロバート・デ・ニーロ(Robert Anthony De Niro Jr.、1943年-、81歳)とアル・パチーノ(Alfredo James Pacino、1940年-、85歳)を主役にしたマフィア映画がたくさんある。カジノとかフィラデルフィアとか、とんでもない数である。その話は別個にまたまとめる。特にデ・ニーロは、マーティン・スコセッシ(Martin Scorsese、1942年-、82歳)というイタリア系ニューヨーカーの監督と組んで10本以上映画や何かをつくっている。

(左から)アル・パチーノ、マーティン・スコセッシ、ロバート・デ・ニーロ
デ・ニーロよりさらに年上なのがアル・パチーノだ。最近、反トランプとしてメディアに出てきて、「トランプなんか大統領にするな」とか言い出した。彼らはハリウッド映画界の超大物俳優なんだが、やっぱりディープステート=陰に隠れた超財界人たちの手先、家来をずっとやってきた。手先をやってお金をたくさんもらって、映画の主役をやってきた訳だから、今さら裏切れないんだ。だからトランプに対する憎しみを表明してニューズになったりした。
この2人の映画もまさしくこの NYマフィア100年そのものと重なっているんだ。アル・パチーノがまさしく「ゴッドファーザー」の1と2、3と出てきて、ヴィトー・コルレオーネの息子、マイケル・コルレオーネになる訳だ。映画のマイケルは、最初の奧さんを爆殺された。それでお姉さんもかわいそうな感じだったが、マイケルの娘がパルレモのオペラハウスの前の階段のところで胸を撃たれて死ぬんだ。その時に泣き叫ぶアル・パチーノの姿があって、それで「ゴッドファーザー」は終わりだ。4作目はもうなかった。

マイケル・コルレオーネを演じるアル・パチーノ
ラッキー・ルチアーノについては、私、副島隆彦でさえ、まだ善人というか、マフィアの親分として偉い人だとずっと思っていた。でも本当は、アメリカの支配層に育てられたんだとわかった。
当時のアメリカは、ドイツやイタリアとの戦争が始まる前である1930年代から、ニューヨークや港湾の沖仲仕や船乗りたちを自分の味方につけなければいけなかった。なぜかと言うと、冲中仕や船乗りの中にイタリアマフィアたちが入り込んでいるから。そうすると彼らから(アメリカの)敵であるイタリアのムッソリーニ政権に、アメリカの情報が漏れてしまう。イギリスを助けるために出航したアメリカの移送船団の情報が、何日にどこどこを通るとかが、敵(イタリア政権)に伝わってバレてしまう。
実際、アメリカからの船が通る予定ルートに、ドイツのUボートという当時世界最強の潜水艦隊が待ち構えていて、長さが10メートルぐらいある魚雷をドーンと撃って、アメリカの大きな移送船団を沈めた。アメリカとイギリスにしてみれば「これはたまったもんじゃない」ということで、必死に対策を考えた。逆手にとって、NYマフィアの総師であるラッキー・ルチアーノを抱き込んで、マフィアを育てて大事にした。イタリアマフィアをアメリカ政府の味方につけて、イタリアのムッソリーニ政権の打倒をやった。そうやって、イタリア人船乗りや沖中士からドイツ参謀本部に情報が漏れるのを遮断した。この功績もラッキー・ルチアーノのものである。その見返り(返礼)として、アメリカ政府はNYマフィアがアメリカ合衆国全体の酒と麻薬と売春とギャンブルの非合法ビジネスを握ることを黙認した。

UボートI型
1943年、シシリー島にアメリカ軍のパットン戦車軍団、パットンの第8軍団というんだが、それが上陸してイタリア半島を攻め上っていった。そのときにはもうルチアーノが最初に下見に来ていたというか、シシリーのマフィアの親分たちをまとめる会議を開いている。「アメリカ側につけ、ムッソリーニ政権は打倒されるんだ」と説得したんだ。
ムッソリーニ(Benito Mussolini、1883-1945年、61歳で死)はある意味で非常に立派な男だった。激しくストライキをする労働者たちと経営者側の両方に、政府の命令で話し合いをさせて合意させた。あるいはローマ・バチカンのローマ法皇たちとも闘って、屈服させていた。

ジョージ・パットン

ベニート・ムッソリーニ
さらにはヴィットーリオ・エマヌエーレ2世(Vittorio Emanuele II di Savoia、1820-1878年、57歳で死)というイタリア国王も、ムッソリーニは屈服させていた。民衆国民からのものすごい支持があった。それがムッソリーニという男だった。最後は自分の出身のミラノの広場で逆さづりにされた。処刑されたのはもっと北のコモ湖のそばなんだけど、連合国の支援を受けパルチザンがムッソニーニを捕まえて殺して、死体をミラノに運んできた。ナチスドイツが山の中まで助けに行って、一度はムッソリーニを助け出した(1943年4月)が、やっぱり捕まって処刑された。

ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世
(つづく)
「2206」 NYマフィア100年の全体像を日本人に分かりやすく説明する(第2回・全2回) 2025年6月30日
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- 「2206」 NYマフィア100年の全体像を日本人に分かりやすく説明する(第2回・全2回) 2025年6月30日
副島隆彦です。今日は2025年6月30日です。
「NYマフィア100年の全体像」についての2回目です。
前回話したラッキー・ルチアーノと同じ役割を、朝鮮戦争(1950-1953)の時にアメリカ政府は、日本の山口組3代目 田岡一雄(たおかかずお、1913-1981年、68歳で死)に隠然とやらせた。その説明をする。
日本が戦争で負けた後から朝鮮戦争が始まるまで、小さな船まで入れたら1万隻の輸送船が、日本の港にわんさと来た。アメリカからものすごい量の物資が届くんだ。横須賀、横浜、それから神戸、長崎。日本のこれら大きな港に物資を運んできて、それから朝鮮戦争の前線に兵隊と軍備と物資を送る訳だが、それをロジスティクス(logistics、兵站)という。この兵站(へいたん)で大事なのは、荷揚げの荷役(にえき。積み降ろし)をやる港湾労働者たち、沖中士(おきなかし)だ。当時はまだ、ベルトコンベアーもカントリークレーンもない。船から長い大きな板を渡して、人間が60キロぐらいの荷を抱えて船に運んだり、船から運び出したりする。横浜でいうと、伊勢佐木町の脇に港湾労働者たちの町があって有名な職安もあった。私は何回か行ったことがあるが、その名残がまだあった。
朝鮮に軍事物資を運ぶための後方基地である日本の、全国にある主要な港の湾岸荷役の業務を、アメリカ政府は、神戸の山口組に取り仕切らせた。アメリカ政府が山口組を育てて、全国制覇させたのだ。これが歴史の真実だ。

沖仲仕
当時の日本の沖仲仕と船乗りたちは、朝鮮学校を出ているとか、そういう人たちだったんだけど、彼らをまとめるために 田岡一雄(たおかかずお、1913-1981年、68歳で死)が育てられた。そして、前述したように全国制覇という言葉になるんだけど、山口組が大きな港湾を全部握った。その後、1970年代、80年代に、関東やくざの住吉連合や稲川会と激しい戦いになっていく。山口組は分裂を起こしたりして、関東全てを制覇することができなかった。田岡一雄も殺されかかって、今の新神戸の駅のそばの神戸オリエンタルホテルでそういう事件があった。ラッキー・ルチアーノも殺されかかっている。

田岡一雄

山口組の代紋

稲川会の代紋

神戸オリエンタルホテル
1946年、戦争が終わった翌年だ。ラッキー・ルチアーノは組織犯罪の大ボスではあるがアメリカ政府に貢献したということで刑務所から出された。これを deportation(デポーテーション)というが、覚えたほうがいい言葉だ。deported されたんだ。つまり国外追放だ。
現在アメリカ合衆国にいる、麻薬ビジネスなんかをやっている中南米諸国からの不法移民、違法滞在外国人(illegal alien イリーガル・エイリアンと今ははっきり書くようになった)。アメリカ政府はこの違法、不法入国者たちを捕まえて、彼らを deportation している。そして、エルサルバドルという国に作られた7万人収容できる巨大な刑務所に、狂暴な中南米(ヒスパニック)マフィアを送り込んでいる。
今のアメリカでは、LA(ロスアンジェルス)やフィラデルフィアなどの大都市に覚醒剤と麻薬、違法薬物(フェンタニル)が出回っていて、とんでもないことになっている。体中に入れ墨を入れた恐ろしいマフィアがごろごろいる。フィリピンにもたくさんいる。それを、立派な人物であるロドリゴ・ドゥテルテ前大統領が、警察や特殊部隊に命令してたくさん射殺した。このことでドゥテルテは現在、オランダのハーグ市にある国際刑事裁判所(ICC)で裁判にかけられているが、フィリピン国民の圧倒的多数はドゥテルテを尊敬している。
ところで、ギャングというのは暴力団ではない。チンピラとかそこら辺の不良がギャング(gang)だ。

刑務所内のギャングメンバーたち
暴力団はモブスター(mobsters)という。スターといっても、テレビスター、映画スターのスター ”輝く星 (star)”とは違う。モブスターとかギャングスターは、「こういう人間たち」という意味で ster と書く。モブスターが本物のマフィアで、日本ならヤクザ者(組織の構成員、組員)だ。 ギャングスターは不良の少年や半グレたちだ。このように微妙に使い方が違う。
エリア・カザン(Elia Kazan、1909-2003年、94歳で死)監督の「波止場(On the Waterfront)」(1954年)と、イタリア版の「ラッキー・ルチアーノ」(1973年)という映画があって、両方とも私は20年以上前に書いた自分の本の中で解説している。自分が書いてきた映画評論のさらに裏にある真実を、こうやって20年後の今、暴き立てようとしているわけだ。

映画「波止場」のワンシーン

エリア・カザン
ラッキー・ルチアーノは、自分の映画を撮りに来たアメリカの撮影隊をナポリの空港に迎えに行く途中で、心臓の痛みで死んだ。違法ビジネスをやりながらも、ドンとして最後はシシリーではなくナポリで死んだ(1962年、65歳)。英語はほとんどできなかった。学歴も何もない、日本で言えば中卒みたいな人たちの大親分だ。ルチアーノは恰好良くてハンサムですらっとしていた。それでも大きな組織を率いた人間の苦悩が、眉間に刻み込まれている。ラッキー・ルチアーノはニューヨークの大親分で、その子分というか仲間としてアル・カポネとも付き合いがあった。二人はたった2歳違いだ。
アル・カポネ自身はナポリの郊外で生まれて親に連れられてアメリカに来たからシシリー系ではなく、ナポリ系だ。ニューヨークの下町で育って、20歳で人殺しをやって、危険なのでシカゴに移り住んだ。そして25歳でシカゴの大ボスになった。有名人になって雑誌や新聞で取り上げられたのだが、前回話したように「聖バレンタインデーの虐殺」(1929年2月14日)をやって、大悪人になってしまった(30歳)。次の年には麻薬取引と脱税の罪でアメリカ財務省に捕まった。捕まえたのは財務省のシークレットサービスだ。
このシークレットサービス(Secret Service、SS)がわけのわからない言葉で、シカゴの捜査官だ。地元の警察署長や裁判官や政治家までがマフィアに買収されているから、直接、連邦政府(ワシントン)の財務省が犯罪摘発をやるしかないということになっている。
しかし、マフィアたちのその上にアメリカの本物の支配層である、今でいうところのディープステート(the Deep State)、即ち超財界人たち(もちろん極悪人たち)がいる。だから前号で説明したが、「シチリアの晩鐘の夜」(1931年9月10日)の大虐殺も、本当はアメリカ全土でマフィアのボス、大幹部(Capo カポ)たちが(本当は FBI に)殺されているのに、FBI や米司法省は「そんなものは無かった」としている。 この1931年9月10日が FBI の動きのピークだが、カステランマレーゼ戦争という訳のわからない名前をつけて、マフィア同士の抗争の一部ということにされている。
ラッキー・ルチアーノの子分だったのが、マイヤー・ランスキー(Meyer Lansky、1902-1983年、80歳で死)だ。

マイヤー・ランスキー
マイヤー・ランスキーは、ユダヤ・マフィアの大親分でもある。彼が、ニューヨークだけでなく、全米の主要都市のユダヤ系アメリカ人(Jews American ジューズ アメリカン)マフィアの元締めだ。ユダヤ系の粗暴な人々も自分たちで団結して、マフィアの主流、本流である下層白人(poor White プア ホワイト)のアイリッシュ系(アイルランド系)のマフィアと肩を並べて存在した。アイリッシュ系マフィアについては、後述する。
はっきり言うと、マイヤー・ランスキーの後継ぎが、マイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg、1942年-、83歳)だ。ブルームバーグ通信社という会社をつくった。イギリスロスチャイルド家が1880年代の通信技術とともに始めたロイターという通信会社よりも、ブルームバーグのほうが今では力が強くなった。

マイケル・ブルームバーグ

ブルームバーグ欧州本社ビル

ロイター通信社
ユダヤ系マフィアの大親分、マイヤー・ランスキーの話に戻るが、彼と少年のころからの仲間だったのがバグジー・シーゲル(Bugsy Siegel、1906-1947年、41歳で死)という男。このバグジー・シーゲルも大幹部なんだけど、ラッキー・ルチアーノに「おまえにラスベガスのカジノ商売(ビジネス)を任せる」と言われた人物だ。「バグジー」(1991年)という有名な映画があるから、これを見ればわかる。ウォーレン・ベイティがバグジーを演じた。

バグジー・シーゲル
バグジー・シーゲルがラスベガス建設の最初のときから入った。「フラミンゴホテル」をつくるのだが、そこで愛する女に狂ってしまった。この女がとんでもない女で、お金を使い散らかして。もう男が女に狂うと本当に大変なことになる。バグジーはかなりのお金を使い込んだ。かつ「フラミンゴホテル」に豪華な家具を運び込んだりして工事費が何倍にも跳ね上がった。これに大ボスであるラッキー・ルチアーノが怒って、キューバのバハナに大親分たちを集めて会議(バハナ会議)を開いて決議して、「バグジーを始末せよ」と命じた。それでバグジーは殺された(1947年)。

映画「バグジー」の一場面

ウォーレン・ベイティ

ラスベガス

フラミンゴホテル
ユダヤ・マフィアの親分マイヤー・ランスキーは、バグジー・シーゲルを一生懸命かばうんだ。それが映画のシーンにも出てくる。だけどバグジー・シーゲルを恨んでいたやつがヒットマンになって、ラスベガスに行ってバグジーを殺した。
アメリカの1930年代、一番大きな国家公共事業がテネシー渓谷開発だ。テネシー川流域開発公社(TVA、Tennessee Valley Authority)が公共事業でものすごく大きなダムをつくって、発電所をつくって、電気をテネシー州の周り5州に配ったんだ。それと同じことをラスベガスのこっち側でもやった。グランドキャニオンに近いほうの川を削ってフーヴァー・ダム(Hoover Dam)をつくって、そこから砂漠に電線を引いて電気を引いてラスベガスができた。遠くはサンフランシスコからも大きな国道があるから、博打をやりに人がたくさんやってくるんだ。カジノができる訳だ。そうして歓楽街ができた。このことも大事な知識として、日本人もはっきり分からなきゃいけない。

テネシー川流域開発公社(TVA)がつくったフーヴァー・ダム

グランドキャニオン国立公園
ここで、アイリッシュ・マフィアの説明をする。アイリッシュ・マフィアの本拠はシカゴだ。そしてそれの総帥(そうすい)が、実は、アメリカの ”ケネディ王朝” を築いたジョセフ・P・ケネディ(Joseph P. Kennedy、1888-1969年、81歳で死)である。現職で殺されたジョン・F・ケネディ大統領(John Fitzgerald Kennedy、1917-1963年、46歳で死)と、その弟のロバート・ケネディ上院議員(Robert Francis Kennedy、1925-1968年、42歳で死)のお父さんだ。ロバートの息子が今のトランプ政権の厚生長官であるロバート・ケネディ・Jr 。 ケネディ家暗殺の真実は今だに明らかにならない。

左からジョセフ・P・ケネディジョン・F・ケネディ

左からジョン・F・ケネディ、弟のロバート、更に弟のテッド
ジョゼフが、映画「華麗なるギャツビー(The Great Gatsby)」(1974年)のモデルなんだ。彼はカナダでシーグラム一族と組んで、密造酒をつくって、禁酒法時代のアメリカに売りさばいて大金持ちになった。だからジョン・F・ケネディはアイリッシュでシカゴの大親分だ。ケネディ家自体は日本でいえば京都みたいな、ニューヨークよりずっと北のほうのボストンで暮らしているけれど、シカゴにはアイリッシュやポーランド系などの下層白人がたくさんいる。シカゴ市長は歴史的にケネディ家の子分で、リチャード・デイリーの一族が大番頭としてケネディ家に仕えている。

禁酒法時代
シカゴにもたくさんいるポーランド系はポーラック(Polack)という差別語で呼ばれる。それを描いた映画が「欲望という名の電車」(1951年)だ。テネシー・ウィリアムズ(Tennessee Williams、1911-1983年、71歳で死)が原作者で、エリア・カザンが監督。そこに出て来る、自分のことを貴族の出だと言いふらす頭が狂っているかわいそうな女「ブランチ」をヴィヴィアン・リー(Vivien Leigh、1913-1967年、53歳で死)が上手に演じた。ブランチは高級売春婦だ。ビル・クリントン(Bill Clinton、1946-、78歳)元アメリカ大統領の本当のお母さんが、このブランチのモデルだ。この真実も言ってはいけないことになっている。デイヴィッド・ロックフェラー(David Rockefeller、1915-2017年、101歳で死)よりもちょっと上のお兄さん、ウィンスロップ・ロックフェラー(Winthrop Rockefeller、1912-1973年、60歳で死)がビル・クリントンの父親だ。デイヴィッドは五男坊、ウィンスロップは四男坊で、アーカンソー州知事(在任:1967-1971年)をしていた。

映画が「欲望という名の電車」のワンシーン

テネシー・ウィリアムズ

ヴィヴィアン・リー

ビル・クリントン

デイヴィッド・ロックフェラー

ウィンスロップ・ロックフェラー
そのアーカンソー州から出た上院議員が、ジェームズ・ウィリアム・フルブライト(James William Fulbright、1913-1967年、89歳で死)だ。フルブライト委員会という、日本からの留学生をアメリカに出す仕組みをつくった男で、これがビル・クリントンの育ての親だ。

ジェームズ・ウィリアム・フルブライト
戦後の、ラッキー・ルチアーノの話に戻る。 前述のハバナ会議でバグジー・シーゲルの処分が決定された頃は、アメリカ政府とアメリカの軍はまだルチアーノにお世話になっていたから、野放しだ。酒や売春や麻薬の全米支配をラッキー・ルチアーノに許していた。それでイタリア及びドイツを戦争で打ち負かした。だから真実は、アメリカ政府とマフィアはずぶずぶの関係だったんだ。だからラスベガスの巨大な繁栄も、もうわざとやらせたということだ。 博打打ちや悪いことをしたがる人間たちというのはたくさんいるから。それが資本主義の爛熟(らんじゅく)だ。女だって自ら売春婦みたいに男とつき合っていい暮らしをしたいというのは山ほどいる。きれいごとじゃない、ここのところは。
ルチアーノは1946年にdeportation(国外追放)されて1962年に死んだ。追放以降はもうアメリカ国内にはいない訳だから、その後のアメリカ国内のマフィアを誰たちが仕切ったのかという話になる。ラッキー・ルチアーノがイタリアへ追放されるときに、大きな船で大パーティーがあった。5大ファミリーの全員がそろったと言われている。そこにいたニューヨークのマフィアのフランク・コステロ(Frank Costello、1891-1973年、82歳で死)というのがルチアーノの後継ぎだ。これが30年間くらい支配している。あまり有名ではないが、このフランク・コステロも重要で、彼も「ゴッドファーザー」の映画の大親分、ヴィトー・コルレオーネのモデルの一人だ。
フランク・コステロも、FBI 長官やニューヨーク市長たちとグルで動いた。対抗馬としてアルバート・アナスタシア(Albert Anastasia、1902-1957年、55歳で死)やヴィンセント・マンガーノ(Vincent Mangano、1888-1951年、63歳で死)らマンガーノ家が出てきたけれど、彼らも殺された。それが1950年代だ。この後はジェノヴェーゼ一家の権力闘争とかカンビーノ家の内部争いとかいろいろあって、あとボナンノ家とかルッケーゼ家というのも出てきて、もう訳が分からなくなる。私たち日本人がこれらを追いかけてもあまり意味がない。分かった気になっても仕方がない。

フランク・コステロ

アルバート・アナスタシア

ヴィンセント・マンガーノ
大事なのが、これもう本当に大事。1963年11月22日にケネディ大統領が殺された年だ。ジョゼフ・ヴァラキ(Joseph Valachi、1904-1971年、67歳で死)という男がいて、これはジェノヴェーゼ一家の構成員だ。大幹部ではない。このヴァラキが捕まって、FBI と司法取引をした。懲役20年は嫌だから、5年にしてくれとかそういう取引をして、ヴァラキがFBIだけじゃなく裁判所や上院議員の公聴会(パブリック・ヒアリング)でも証言した。それが新聞にばーっと載って、このときにニューヨーク5大ファミリーというのがハッキリ表に出た。公になった。だから「バラキ」という映画(1972年作)があるんだよ。1990年ぐらいに私は見たが、ゴリラみたいな顔をしたチャールズ・ブロンソン(Charles Bronson、1921-2003年、81歳で死)という俳優が演じた。ヴァラキは、大ボスであるラッキー・ルチアーノよりたった7歳下だ。だからNYマフィア100年間の重要な事件を、その内部から見ていた。ヴァラキ自身は大幹部になってはいないが、強盗からヒットマンまであらゆる犯罪を自分でやっていて、それら真実を証言したことに重要性がある。

ジョゼフ・ヴァラキ

映画「バラキ」

チャールズ・ブロンソン
ヴァラキの証言で、マフィアの5大ビジネスがだんだんと明るみに出た。1970年代まではずっと非合法ビジネス、だから麻薬と賭博と売春と酒で、労働組合の中に潜り込んでいって組織を乗っ取るとか、あとは金融詐欺と人殺しだ。あとマネーロンダリングをやった訳だ。この頃から、取り締まりが強化されていったんだが、しかし、大きくはFBIが全体を取り締まったと言うけれども、FBIの中にもマフィアとつながっている人たちがいる。
トランプ大統領が今、整理しようとしているのは、汚れた FBI や CIA の幹部たちの処分だ。1970年に25歳のトランプは、最後の大ボス ジョン・ゴッティ(John Gotti、1940-2002年、61歳で死)と21クラブで出会った。その4年後、1974年には29歳でグランド・セントラル・ステーションのすぐ脇から出入りできるコモドアホテルを解体して、高層のグランド・ハイアット・ホテルに建て替えた。60階建てぐらいだろう。

グランド・セントラル・ステーションの地図

グランド・セントラル・ステーション

コモドアホテル

グランド・ハイアット・ホテル
ハイアットを保有する ”ホテル王” に成り上がったプリツカー家も、大都市シカゴがあるイリノイ州の州知事をJ・B・プリツカー(Jay Robert Pritzker、1965ー)がやっているわけだから、マフィアといえばマフィアなのだ。
そしてハイアット一族もトランプも、1990年代からは合法マフィアになっていった。もう違法ビジネスはやらない。だからジョン・ゴッティが1992年に捕まったときに、NYのマフィア100年は終わったのである。前回説明した、ジュゼッペ・モレロのNYマフィア創設(1891年)からちょうど100年だ。

J・B・プリツカー
あとコルレオーネという町の話をまだしていない。コルレオーネはパレルモの南50キロぐらいの山の中にある地名だ。私は行ったことはないんだけど。それが、映画「ゴッドファーザー」の中で『ミート・コルレオーネ』として描かれている。マイケル・コルレオーネという名前もそのひとつだ。

シシリー島の地図

パレルモの景観
パレルモの外れ、コルレオーネの近郊にレルカーラ・フリッディという村があって、ラッキー・ルチアーノはその村の出身だ。ウィキペディアにそう書いてある。ルチアーノはイタリア読みだったらルシアカだと思う。ラッキーというのは、拷問に遭っても死ななかったからそう呼ばれた呼称だ。 もうこれ以上話すと、私も困るし皆さんのほうがこんがらがるから、もうやめにしよう。1928年、クリーブランド会議とかアパラチン会議(Apalachin会議)とか、そういう話はもうやめにする。
とにかくシシリーマフィアは家柄というか、血族関係を非常に大事にする。しかし、今はもうそんなことは言っていられない時代だ。

レルカラ・フリッディの景色
最後に、コーサ・ノストラ(Cosa Nostra)という言葉について。これはイタリアマフィアを正当化して、誉れ高く自称する時の言葉で、「我らが大義」という意味だ。「コーザ・ノストラ」(1973年)という、まさしくラッキー・ルチアーノを描いたイタリア制作の映画があって、これがF・コッポラ監督の映画「ゴッド・ファーザー」の原型(アーキタイプ)である。
コーザというのは because の cause なんだ。理由、原因と訳されるが、cause は大義とも訳せる。ノストラ nostra は私たちという意味だから、英語にすると「Our cause アウワ・コウズ」=自分たちが生きていく上での目標、目的、大義、みたいな意味になる。
「イタリアからアメリカに出稼ぎ労働者として渡ってきた自分たち下層白人たちは、ニューヨークの片隅である lower East とか lower East Bronx とかあちこちの貧しいところで、自分たちで寄り添って助け合って生きていかなけらばならない」
これがコーサ・ノストラの本当の意味だ。「我らが互助会」と訳した方がいいくらい。私的福祉団体なんだ。

映画「コーザ・ノストラ」のポスター
警察が犯罪者を取り締まっているみたいに言うが、日本の組織暴力団に雇われて、その子分になって生き延びている元警察官とか弁護士とかが本当にいる。どこの国でもそういうものだ。だから、「コーザ・ノストラ」という言葉がいかに大事であるかを、日本人もわかるべきだ。助け合い運動なんだ。
1980年代、90年代にイタリアの首相をしていたシルヴィオ・ペルルスコーニ(Silvio Berlusconi、1936-2023年、86歳で死)という男がいる。日本で言えば森喜朗みたいな存在だ。森喜朗こそは金沢の山口組だ。実際、金沢の山口組のビルに森喜朗の事務所があった。私は森喜朗が大嫌いだが、ああいうのが日本では本当の政治家として長生きする。実際ワルで、みんなもワルだとわかっているから近寄りたくない。
ペルルスコーニは、少女買春みたいなことで捕まったりはしたけど人気者でもあった。そして、今のイタリア首相であるジョルジャ・メローニ(Giorgia Meloni、1977-、48歳)という女も、ペルルスコーニに育てられている。Forza Italia(フォルツァ・イタリア)=「イタリア頑張れ」という政党だ。

シルヴィオ・ベルルスコーニ

ジョルジャ・メローニ

フォルツァ・イタリア
マフィアというのは、イタリアから出てきて、ニューヨークに来て、ニューヨークから全米に広がっていった。今もあるが、もう表には出てこない。なぜなら合法化したから。
今では真面目な建設会社や土建屋や解体工事屋や処分場経営などをやっている。これで終わる。
(終わり)
・・・【Ⅰ】「NYニューヨークマフィア(米国)」・・・副島隆彦が裏社会の闇を抉(えぐ)り出して一般人向けに解説しています。
【Ⅱ】
・・・【Ⅱ】①「織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の裏歴史と今の裏社会」・・・副島隆彦が裏社会の闇を抉(えぐ)り出して一般人向けに解説しています。
【Ⅲ】
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