ついに「世界大恐慌(せかいだいきょうこう)」に突入する様だ・・・はやめに、「かみあわせ」の整備をしておいてください・・・【『トランプ革命』では、このことすらも、予定通りなのかも】
【3238】ベッセント米財務長官が国の借金地獄で荒れ狂う、の記事が出た。
副島隆彦です。今日は2026年10月10日です。
以下に載せる新聞記事はものすごく重要です。これは10月7日付のアメリカのウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)の記事だ。まずは記事の見出しと記事のはじめの方だけ引用する。
(転載貼り付け 始め)
●「ベッセント氏率いる米財務省、緊迫と離職の内幕」
「 物価高と借り入れコストが焦点となり得る中間選挙を控え、ベッセント財務長官は高官らを叱責 壁にバインダーを投げつけたことも 」
2026年10月7日 WSJ
https://jp.wsj.com/articles/inside-bessents-treasury-tension-turnover-and-unmet-economic-goals-b6fc6e70?mod=djem_Japandaily_t

スコット・ベッセント米財務長官は激怒していた。
今年1月に財務省で行われた会合で、ベッセント氏はジョン・ハーリー財務次官(テロ・金融情報担当)を問い詰め、補佐官らの前で怒鳴り散らし、罵声を浴びせた。この件を直接知る関係者らによると、ベッセント氏の声があまりにも大きかったため、近くで働いていた職員にも聞こえるほどだった。・・・ (全文はうしろに載せる)
(転載貼り付け 終わり)
副島隆彦です。このようにアメリカのベッセント財務長官が、周囲に怒鳴り散らして荒れ狂っている。スタッフにバインダーを投げつけたり、自分の部下である財務次官のクビを何人も切った。もう抑えが効かないぐらい厳しい状況だと書いてある。
その原因と理由は、はっきりしている。アメリカの財政赤字(ざいせいあかじ)がものすごい。ベッセントがその対応の責任者として、いろいろ背負っている。
もっと簡単に書くと、今や主要各国の フランスもポーランドもオランダもカナダも、保有する米国債(べいこくさい)を投げ売り(ファイア・セール)している。中国と日本もその態勢にはいっている。これのものすごいストレスでベッセントがこうなっている。
この重要な事実を、日本のテレビ新聞はほとんど報道しようとしない。
しかし今回、WSJ紙 がここまではっきり書いたということで、アメリカ国内では「ベッセントがおかしくなっている」で騒ぎになっていて、金融業界だけでなく一般のアメリカ国民にも衝撃が起き影響を与えている。
副島隆彦です。ベッセント財務長官が一人で荒れまくっている理由は、たった一言だ。私がこれまでずっと書いて来たとおり、アメリカ政府が抱える財政赤字(国家の大借金)がひどくて首が回らない。アメリカに「もうすぐ国家破産するしかない」という大きな危機が迫っている。ドルが世界的に信用を無くして暴落を開始する。 トランプはベッセントを深く信頼して彼に金融経済を全部、一任している。
ベッセントが何十人もの部下の首を切っている、これを「離職」という言葉で、英語で turnout ターンアウト と書いている。日本語では解職(かいしょく)と言うべきで、もしくは辞職、辞任だ。もっと分かり易く言うと「クビ」だ。 “ You are fired. ” 「ユー・アー・ファイアード」「お前はクビだ」という言葉だ。首切りの嵐が、アメリカ政府の中枢である財務省の政府高官たちの中で起きている。
ベッセントが、シャウト shout とかエル・アウト yell out と書かれているが、怒鳴り声をあげていると。自分の部下に、といっても彼らはアメリカ財務省の高官たちだ。たとえば首になったひとりは、 追い出されてOECD のアメリカ大使になったと書かれている。そういう内容がこの記事にずっと、ずーっと書いてある。
こういう、ベッセントの狂った言動への証言がいっぱいあって、これを証人、証拠(アカウント account )という。記事にするにあたりWSJは数十人の人間に証言を求めていて、それらを証拠にして書いた長い記事だ。だからホワイトハウスは反論できない。
この長文の記事を最後まで読み切れる日本人は多くはいないだろうが、それでも、じっくり読んでください。途中途中に私が英語の原文から英単語を挟む。そうしないと日本人は、こういう感情のこもった記事を理解しようとしない。
この「アメリカの財政赤字がひどい」を別の言葉で言うと、
「米国債の投げ売りが世界各国から始まっている」だ。
1枚だけ証拠の記事を貼り付ける。

このようにフランスもポーランドもオランダもカナダも米国債を売り散らかしている状況に入っている。そうすると、本当ならニューヨークのボンド・マーケット(債権市場)が大暴落を起こしているはずだが、それをベッセントたちが必死で、あれこれ奇妙な手口を使って、米国債を買い支えている。
喧嘩状態の FRBでさえ、見るに見かねて、財務省が発行する米国債を、新たに1兆ドル(158兆円)購入する、と発表した。アメリカはもう明らかにおかしい。
日本では、株とか為替とか他の金融市場の話をして誤魔化している。米国債(債券)市場が危険だ、と誰も書かない。一番大事なのはこの国家借金(しゃっきん)証書である米国債の市場が崩れることだ。もしこれに加えて、中国と日本が本気で売りに入ったら、アメリカの金融市場は確実に崩壊する。
だからアメリカ政府は日本政府にものすごい圧力をかけている。真実は、ベッセントは、片山財務大臣と日本財務省の幹部たちに対しても、大声で怒鳴り上げている。「もし日本が、為替介入を理由に米国債を売ったら、絶対に許さんぞ」と。これを、周りにいる各社の新聞記者たちは知っている。それなのに、絶対にそのように記事には書かない。
それでWSJ記事によると、ベッセントは ついに “ I am the house(ハウス).” という言葉を使ったと。これは「俺がこの賭博場の胴元(どうもと)だ。主宰者だ。お前らこの俺に向かって勝負を仕掛けて来るというのか。やれるもんならやってみろ」と、脅し上げているわけだ。こういう下品極まるコトバまでベッセントは口走っている。
これの意味が分からない人がいるだろうから説明する。日本にも江戸時代からやくざ者たちが開く博打場、賭場(とば)があった。英語でハウスという。この主宰者が胴元で、彼らは暴力団の親分そのものだ。House of the card といって、そこに騙されて連れて来られた人たちにお金を貸す。
博奕に狂った大(おお)百姓たちが、うまい具合に嵌(はめ)られて、最後は博奕ですってんてんに負けて、自分の田畑(でんばた)を全部取り上げられる。それでその一族が没落する。これは明治・大正・昭和の米相場(こめそうば)でも同じだ。それぐらいに「胴元」というのは恐ろしい言葉だ。博奕(ばくち、ギャンブル)を実際にやって来た人たちは、その怖さを身に染みて分かっている。
最後は、胴元とその博奕場にやってきた参加者たちの間の、一騎打ちの戦いになる。胴元は大抵の場合は負けない。裏でインチキもやるし、恐ろしい人たちだから。
WSJ誌はベッセントが “ I am the house. ” と言い放った、までは記事にした、だがそれ以上の説明はしない。
ベッセントがついに、「俺が胴元だ」と。それは「俺は、アメリカ国家も、日本の財務省の機密事項まで全部知ってるんだぞ。その上で、俺に挑みかかってくるならば、その覚悟でやれ。お前らなんか叩き潰してやる」と言うことだ。激しいコトバだ。このことを日本人が自覚するべきだ。
ベッセントは、NYの金融市場で名うての相場師として高い評価を出した男だ。だから、彼が今は財務長官として、国家経営をやっている。だが、それでも、大変だ。どうにもならない。気が狂いそうだ。いやもう狂っている。そのことがこのWSJの記事で暴かれた。ということはアメリカの金融市場は危機的な状況にある、ということだ。FRBのウォーシュ議長も、すでにベッセントと大喧嘩状態に入ってて、もう話し合いなんかできない厳しい関係になっている。
現実に「主要な各国政府が米国債を投げ売りを始めた」ということは、「それ(各国政府が売った米国債)を引き受ける人(国)がいないと市場が大暴落する」。こうなるともう、アメリカ国債の暴落=アメリカ金融市場 の終わり、だ。これは文字通り、NY発の金融恐慌に繋がってゆく。
それを一般大衆への心理操作で、株式市場みたいなインチキな相場で、市場を適当に操っている。それで日本人もまんまと騙されて、NISAや新NISAで300万円分をちょこちょことこ買っている。積み立て方式だから安全で大丈夫、とか言い合いながら。真面目な中年サラリーマンたち800万人がやっている。
だが、いざとなったら、こんなものは吹き飛ぶ。このことの怖さも、人々に知らせないで、
なんか偉そうな難しそうなことばっかり書くことで、日本の金融評論や新聞記事はできている。だから結局、「東洋経済」もそれから「ダイヤモンド」も、一流の金融経済の雑誌がもう潰れかかっている。日本経済新聞だけはまだ読まれているけど。
話を戻すと、要するにアメリカは大借金で首が回らない。皆も知っている通り、8月20日に、アメリカの連邦政府(フェデラル・ガヴァーンメント)、ワシントンの中央政府(だけで)の財政赤字、ファイナンシャル・デフィシット deficitとか、ナショナル・デッド debt と言うんだけど。このアメリカの財政赤字が40兆ドル(6300兆円)を越したと発表された。これはアメリカ議会で毎年毎年騒がれている国家赤字の数字だ。
〇関連記事 米公的債務残高、初の40兆ドル突破-「破滅の連鎖」のリスク高まる 2026/8/20 bloomberg
ところが本当の真実は、アメリカの財政赤字は、この数字の10倍ある。アメリカが持つ国家借金は、10倍の400兆ドル、6京(けい)円ある。福祉や医療やインフラ整備や国防でかかってきて、積み上がった。責任者たちにとっては、今にも気が狂いそうな巨額だと、あなたにも分かるでしょう。この真実の金額は、表面に出ないで隠されている。隠された大借金がある。このことを私、副島隆彦以外は誰も言わない(書かない)でこれまでずっとやってきた。
表面に出ている、たったの40兆ドル(6300兆円)のお金で、アメリカという大国がびくつくわけがない。だって考えてごらんなさい。イーロン・マスクのスペースXが上場(6月12日)しただけで、時価総額が2兆ドル(300兆円)だぞ。巨大ロケットの打ち上げの大企業たったひとつの値段でだ。
それぐらいに、米ドルというお金は、ジャブジャブ状態に刷りまくられ世界中に垂れ流されてきた。いくら「アメリカが立派で、超大国で、景気がいい」、みたいなことを言っても、真実は、ドルというお札をジャブジャブに刷りまくってやってきたんだ。これがもう限界まで来ているということだ。
このことは、「ドルの希釈化(きしゃくか)」と経済学で呼ばれている。dillution ダイルーション といって、あまりにドルを発行して垂れ流し過ぎたので、お酒を水で水増し(ダイルート)して、味が薄まってしまうことだ。
ドルは、世界中の貧乏国(発展途上国)では、自国の通貨よりもまだ信用があるから、そういった国々ではずっとドルが使われてきた。だが、今のこの状態がどんどん変化している。
世界中がドルから離れる、de-dollarisation ディー・ダラライゼイション「脱(だつ)ドル化」が急激に起きている。ドルと米国債の信用崩壊は、トランプが、大統領をやり続ける、あと2年の、2028年中までに起きるだろう。その時、世界が大きく変わる。
米国債という国家借金(しゃっきん)証書の この米国債10年物(もの)が年率で、どんどん上がって危険水準の 5.3%のイールド(利回り)を超えた。利回りは金利(インタレスト)と同じと考えていい。米国債が暴落するとこの金利が跳ね上がる。
この利回り(金利)が、この先、6%とか7%になったら、もう確実にアメリカ金融資本主義は終わりだ。この金利のうえに、他の住宅ローンやジャンク債(信用の低い、ハイリスク・ハイリターンのぼろくずの社債など)がずっと積み上がっている。
だからベッセントが毎日、怒り狂ってるというこの記事を、本気で日本人は読まないといけない。
記事の全文が、これがまた長いんだ。長いけど、最後まで読んでください。そして、今、アメリカで本当は、何が起きているのか、を分かってください。
さっきも書いたけど、
日本政府の片山財務大臣なんか、毎回、会談のたびに、ベッセントから怒鳴り上げられている、脅し上げられている。これも金融経済や政治問題をやっている専門家たちはみんな知っているけど書かない。植田和男日銀(にちぎん)総裁は、ベッセントに怒鳴られたので病気になって入院した。植田は今も逃げ回っている。
1997年6月23日、橋本龍太郎が首相だった時だ。彼は首都ワシントンでのビル・クリントンとの会談の後、ニューヨークのコロンビア大学という一流大学で講演をした。その時に橋本龍太郎は「私は米国債を売りたい、そして金(きん)を買いたいという誘惑に駆られた」と言っちゃった。
これがアメリカの逆鱗(げきりん)に触れた、を通り越して、「橋本龍太郎、絶対に 許さない。お前を殺してやる」、となる激しい言質(げんち)となった。だから、その9年後の2006年に橋本龍太郎は死んだ(68歳)。病院で手術もされないで放置されたとか、いろんな噂が立った。新聞記者や政治の専門家たちどころか、一般国民までも「橋本龍太郎はアメリカに殺された」と知っている。だがこれも、今でも言ってはいけないことになっている。それぐらい「米国債を売りたい」という言葉は、世界中の大統領や国王や首相たちにとっては禁句だ。
このように、今のアメリカの財政と金融は限界まで来ている。だから先月の9月23日に、米中会談のためにワシントンに来た習近平(しゅうきんぺい)を、わざわざアンドルーズ空軍基地という飛行場にまでトランプが出迎えに行った。そこでトランプがペコペコ頭を下げた。
中国が米国債をNYの債券市場で、
1兆ドル(160兆円)も売れば、
アメリカは、即座に終り、だからだ。
会談は、「米中は、対等な同盟国(アライアンス)だ」という表現で落ち着いた。 日本ごときを「対等だ」とは、アメリカは思っていない。このことも、あまりに明白なのに、日本ではこの真実は語られないことになっている。
〇関連記事 1時間以上待機、去る車に手を振って見送り…トランプ氏の「皇帝級の出迎え」 2026/9/24 中央日報

どうしてトランプが中国の習近平に卑屈になったのか、もう分かりますね?
それはアメリカが中国に大借金しているからなのだ。中国政府と民間企業を含めて、中国は米国債を大量に持っている。その額は、新聞テレビなんかが言っているような、「中国のフォーリンリザーブ(外貨準備高)は、6000億ドル(100兆円)です」なんてバカな話じゃないんだ。たった100兆円ぽっちの米国債残高に、アメリカ政府が震え上がるわけがないでしょう。
本当はその10倍の4兆ドル、6000兆円の米国債を中国は持っている。日本政府だって、言われているような「外貨準備で1.1兆ドル(180兆円)を持っています」どころじゃないのだ。その10倍、1800兆円もの米国債を、無理やり秘密で買わされている。
これを私、副島隆彦だけが、ずっと自分の本で書き続けてきた。まあ日本ごときは敗戦国で属国(ぞっこく)だから、アメリカにぶん殴られても、黙って我慢している。だから米国債を売れない。
日本は、本当は、
円安阻止のための介入に
まずは50兆円(3000億ドル)ぐらい使って、
米国債を売らなきゃいけない。
それこそ腐るほど米国債を持っているのだから。それさえさせてもらえない。だからこの1ヶ月もごもごとしている。
7月末に為替介入で、合計26兆円(4回やった)の米国債売りをやったっきりだ。
そのあとは、
片山と三村(みむら)財務官が、腰砕けだ。
神田眞人(かんだまさと)という前の財務官がいた。今はフィリピンのマニラにあるジア開発銀行の総裁をしている。彼が早く次の日銀総裁になって、本気で為替介入をやって、100兆円分ぐらい米国債を売らなきゃいけないんだ。そうしたら1ドル120円にすぐなる。2023年(3年前に)に神田が頑張って、1ドル=140円の円高に戻したのだ。 こういうこともずっと、私は自分の本に書いてきた。
ベッセントの苦しさは、例えば、大きな借金を抱えて地獄の会社経営をしている経営者が、狂ったようになって、自分の役員たちを怒鳴りつけることと似ている。
あるいは、世の中にたくさん有る組織、団体のトップの人間が、追い詰められて時に狂乱状態になることと実によく似ている。平社員(一般の従業員)たちは、上から聞こえてくる怒鳴り声に、びくつきながら仕事をしている。このことが、以下に載せる記事にそのまま書かれている。
それでは、冒頭からの WSJ紙 の 「ベッセントが荒れ狂っている」の記事の全文を載せる。新聞記事なのに、やたらと長い。本当に長い。根気強く読み進んでください。
10月17日の博多での講演会に、九州と山口県の皆さんはぜひ集まってください。
(転載貼り付け 始め)
●「ベッセント氏率いる米財務省、緊迫と離職の内幕」
物価高と借り入れコストが焦点となり得る中間選挙を控え、ベッセント財務長官は高官らを叱責 壁にバインダーを投げつけたことも
2026年10月7日 WSJ
https://jp.wsj.com/articles/inside-bessents-treasury-tension-turnover-and-unmet-economic-goals-b6fc6e70?mod=djem_Japandaily_t
スコット・ベッセント米財務長官は激怒していた。
その直前、ドナルド・トランプ米大統領から、ミネソタ州のソマリア系コミュニティーにおける不正疑惑を調査するよう求められていた。そしてベッセント氏は、財務次官の一人が対応を引き延ばしていると考えていた。
今年1月に財務省で行われた会合で、ベッセント氏はジョン・ハーリー財務次官(テロ・金融情報担当)を問い詰め、補佐官らの前で怒鳴り散らし、罵声を浴びせた。この件を直接知る関係者らによると、ベッセント氏の声があまりにも大きかったため、近くで働いていた職員にも聞こえるほどだった。
数週間後、ベッセント氏は補佐官らと、上院の承認を経て就任したハーリー氏を財務省外のポストに移す案について話し合ったという。その後、ハーリー氏は経済協力開発機構(OECD)の米国大使に転じた。これは、ベッセント氏が任期中最大の試練に直面していた時期に同省で起きた、一連の高官離職の一つだった。
事情に詳しい複数の関係者によると、高官らが離職した一因はベッセント氏の振る舞いにあり、それが最大の離職要因であることもあった。
10人以上の現・元財務省高官によると、ベッセント氏は2025年1月に財務長官に就任して以来、大小さまざまな問題を巡り、上級顧問から若手職員に至るまで同様に厳しく叱責(しっせき)してきた。
それでもトランプ氏はベッセント氏を一段と重用し、借り入れコストの上昇、ガソリン価格に押し上げられた根深いインフレ、急速に積み上がる政府債務など、米経済が抱える厄介な課題の解決を同氏に委ねてきた。同時に、ベッセント氏は包括的な制裁計画によってイランとの戦争を終わらせる任務も課されている。
ベッセント氏と共に働いた政権高官の一人は、トランプ氏の経済政策目標全体がベッセント氏の肩にかかっているとし、「スコット(・ベッセント氏)は失敗するわけにはいかない」と語った。
ベッセント氏の擁護派は、その強硬なスタイルが成果をもたらしていると主張する。しかし、財務省での任期が1年8カ月を経過した今、同氏はウォール街からの懐疑的な視線と、11月の中間選挙で共和党の勝機を台無しにしかねない経済状況に直面している。
ベッセント氏はトランプ氏に対し、2028年までに財政赤字を国内総生産(GDP)比3%に削減し、GDP成長率を3%に押し上げ、日量300万バレルの原油増産を実現するという「3-3-3」政策を追求するよう進言した。だが、トランプ氏の大統領就任以降、GDP成長率は2%前後にとどまり、原油増産は日量100万バレル未満にとどまっている。超党派の「責任ある連邦予算委員会」によると、財政赤字は現在、GDP比6%を超えている。米国の債務総額は最近、40兆ドル(約6340兆円)を突破した。
米国債売りが深刻化する中、10年債利回りは20年以上ぶりの高水準に達している。ベッセント氏が、この上昇を抑えるために始動させた米国債買い戻しプログラムを増額したにもかかわらずだ。その結果、米国人の借り入れコストは上昇しており、共和党にとっては危険な傾向となっている。
一方、イラン戦争は明確な終結の兆しが見えない。ただし、トランプ政権が仕掛けたイランの港湾封鎖と経済的圧迫により、イラン政権が打開策を求めてより必死になっている兆候はある。しかし、トランプ氏は最近、イラン側の新提案を拒否した。さらに、中間選挙後にイランへの空爆を再開する見通しだと側近らに伝えている。
そうした中、ベッセント氏は揺るぎない自信を示している。同氏は、自身の対応に疑問を呈するウォール街関係者を「ブルームバーグ端末を見ている連中」と呼んで批判を退けた。最近のインタビューでは、財務長官として得た知見を引き合いに出し、「今や私が胴元だ」と冗談交じりに語った。「私に逆張りしたければすればいい」
同氏はますます大胆になっており、長年の理解者や友人でさえ困惑するような一方的な決定を下している。
そして、その気性の荒さも露呈している。一部の高官によると、同氏は自身のアイデアを実行に移すペースが遅いことや、好ましくないメディア報道に対抗できていないことを理由に、職員を怒鳴り散らした。事情に詳しい関係者らによると、ベッセント氏は昨年、日次ブリーフィングブックの整理方法に激怒し、書類の詰まったバインダーを手に取って壁に投げつけた。
ベッセント氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、こうした証言を否定した。
元財務省高官でビーコン・ポリシー・アドバイザーズのマネジングパートナーを務めるスティーブン・マイロー氏は「投資業界では多くの人が、ベッセント氏が『大人の対応ができる人物』であることに期待していた」と話す。「(投資家は)彼がますますトランプ氏のように振る舞うのを目にし始めており(中略)それが彼への信頼を揺るがしている」
財務長官就任後のベッセント氏に関するこの記事は、同省や政権全体の現・元高官、同氏と近いウォール街関係者など、30人以上へのインタビューに基づいている。
財務省の報道官は、ベッセント氏は「深い責任感と緊迫感を持って仕事に臨んでおり」、さらに「米財務省のパフォーマンスに高い期待を寄せている」と述べた。同報道官は、ベッセント氏と職員・高官とのやり取りには言及しなかったが、同氏の成果として、家族向け減税の実施、銀行規制改革、10件以上の主要な経済合意、中国との経済関係、そしてイランを国際金融システムから遮断するプログラムなどを挙げた。
ハーリー氏は声明で、ミネソタ州の不正調査を巡りベッセント氏と足並みをそろえていたとし、「スコット・ベッセント氏は、トランプ大統領と米国民のための、極めて優秀で恐れを知らない戦士だ」と述べた。
ホワイトハウスはWSJへの声明で、ベッセント氏の管理スタイルを支持した。ホワイトハウスのテイラー・ロジャース報道官は「ベッセント長官が省全体に浸透させたプロ意識と説明責任の高さは、現政権の偉大な成果の一つだ」と述べた。
緊密な側近グループ
8月末、ベッセント氏は財務省内の壇上に立っていた。そこで、イラン戦争を終わらせるための経済計画を発表し、自身の政治的未来を、トランプ氏とその上級顧問らを何カ月も悩ませてきた紛争と結び付けた。政権に近い関係者らによると、トランプ氏が軍事紛争からの出口を模索していることを痛感していたベッセント氏は、爆撃から経済戦に切り替える時だとトランプ氏に個人的に働きかけ、納得させた。
事情に詳しい関係者らによれば、ベッセント氏と同氏に近い少数の顧問らがこの計画をまとめた。
ベッセント氏は、自身の投資会社キー・スクエア・キャピタル・マネジメントでかつて働き、信頼を寄せるジーン・ラング氏を頼りにした。
ハーリー氏が財務次官を辞した直後、ベッセント氏はラング氏にその職務を任せた。上院の承認が不要な代行職としたものの、マネーロンダリング(資金洗浄)から制裁に至るまで、あらゆる事柄を監督する、同省の強力なテロ・金融情報局を統括する権限をラング氏に与えた。
この経済戦については、イランを屈服させるには不十分であり、同国の主要な貿易相手国である中国を直接標的にしていないとして、一部の外交専門家や経済学者から効果を疑問視する声が出ている。
ベッセント氏の手法に詳しい関係者らによると、このエピソードは同氏による財務省の運営方法を象徴している。ベッセント氏はその巨大な組織において権力を集中させており、トランプ氏が掲げる政策を実行するために一握りの顧問に頼ることが多い。
そのように同省を掌握したことで、ベッセント氏はトランプ氏にとって重要なさまざまな政策に主導的な役割を果たすことができた。ベッセント氏が担う任務は多岐にわたり、人工知能(AI)とそれが米経済に及ぼす影響への対応や中国との貿易交渉も含まれる。同氏はまた、米連邦準備制度理事会(FRB)新議長の人選についてもトランプ氏に助言した。
ベッセント氏の側近グループには、同氏と付き合いが長い助言役が名を連ねている。上級顧問兼報道官のアレクサンドラ・プリート氏は、ベッセント氏が政権入りする前に同氏の広報業務を担当していた。ラング氏に加え、ベッセント氏に近いハンター・マクマスター財務次官補もキー・スクエア時代にベッセント氏と共に働いていた。最近、財務次官に指名されたフランシス・ブラウン氏も同様だ。ブラウン氏のきょうだいであるエリン・ブラウン氏は最近、財務次官(国際問題担当)として上院の承認を得た。
財務省は先週、長年ウォール街の市場ストラテジストを務め、投資銀行ジェフリーズの重役であるデービッド・ザーボス氏が、ベッセント氏の上級顧問に就任すると発表した。
ベッセント氏に近い関係者らによると、外部顧問には、経済学者でテレビ番組司会者のラリー・クドロー氏、元国家経済会議(NEC)委員長のローレンス・リンゼー氏、ニューヨークの投資バンカーでベッセント氏と同じサウスカロライナ州出身のアレック・エリソン氏などがいる。
ベッセント氏やホワイトハウスに逆らう者の一部は、冷遇されるか、財務省から追い出されている。
非営利団体パートナーシップ・フォー・パブリック・サービスによると、8月末時点で、上院の承認を得た高官7人が財務省を去った。これに対し、トランプ氏の1期目を含む過去4政権の同時期における離職者は0〜2人だった。
ベッセント氏率いる財務省で最近生じた欠員の中で、上院が承認した別の高官で埋められたのはわずか1人だ。ベッセント氏が就任して以降、上院の承認を必要としない何十人もの高官が同省を去っている。
財務省には現在、上院の承認を得た法務責任者や議会担当トップが不在だ。また、税制政策や国内金融を監督する高官として上院の承認を得た者もいないが、これら二つの役職には指名候補者がいる。
内国歳入庁(IRS)を監督するベッセント氏は、同庁における歴史的な離職も主導してきた。トランプ氏の就任以降、IRSは5人の長官代行を交代させており、現在は空席となっている。ベッセント氏は、上院の承認が必要ない最高経営責任者(CEO)職をIRSに新設し、自身に近いフランク・ビジニャーノ社会保障局長官を起用した。
事情に詳しい関係者らによると、「気難しい上司」というベッセント氏の評判により、財務省の主要ポストを埋める取り組みが難航している。複数の採用候補者は、ベッセント氏の振る舞いについて聞いていたため、同省以外への就職を目指すことにしたと語った。
「ミッション志向」
政権内外でベッセント氏を擁護する人たちは、同氏が好戦的になりやすく、気性が荒く、職員に対して要求が厳しいことを認めている。それでも、仕事に対する猛烈な取り組み姿勢は強みだと主張する。
「彼は良い人間だが、激高しやすく、気性が荒い」。第1期トランプ政権で首席戦略官を務め、ベッセント氏を10年近く前から知っているというスティーブ・バノン氏はこう語った。バノン氏はベッセント氏の財務省職員に対する態度について、「『われわれには目的とミッションがあり、ミッション志向だ。お前の感情には興味がない。感情が傷ついたなら気の毒だが、ここからとっとと出て行け』というものだ」と説明した。
ベッセント氏の擁護派によると、同氏は職員に対してパフォーマンスを向上させ、大統領の政策を確実に実行するよう圧力をかけているという。これは彼が投資会社を経営していたときに学んだ戦術だ。長官の側近らはまた、同氏と衝突して財務省を去った一部の職員は大統領のビジョンの邪魔をしていたとして批判した。
「長官は要求が厳しく、結果重視だ。世界トップクラスのマクロ投資家であることを考えれば、これは驚くべきことではない。私が彼の下で働いていたとき、彼は常にプロフェッショナルな態度を保ち、敬意を払ってくれた」。1年弱にわたり長官の顧問を務めたジョセフ・ラボーニャ氏はこう語った。
擁護派は、ベッセント氏の市場介入がなければ国債利回りはさらに高くなっていただろうと主張し、アルゼンチンペソや日本円を下支えする上でも成功したと言う。また、米国の経済成長率は3%には達していないものの、比較的堅調であり、現在はAIブームのおかげで加速している可能性がある。
元同僚らによると、ベッセント氏はウォール街の投資家として、その言動の激しさが評判となっていた。著名投資家ジョージ・ソロス氏のヘッジファンド「ソロス・ファンド・マネジメント」で働き、2011年に同社の最高投資責任者に就任したベッセント氏は、時に怒りを爆発させることがあった。
2012年、フィリップ・ファルコン氏のヘッジファンド「ハービンジャー・キャピタル・パートナーズ」への2億ドルの投資が苦境に陥った後、ベッセント氏はオフィスでの会議で激怒し、ソロス氏や他の6人ほどが気まずそうに見守った。
「私たちは、不運なワイヤレス事業へのハービンジャーの投資を巡り、非常に活発な議論を交わした」とファルコン氏は振り返った。「彼は明らかにその事業について何も知らず、私がそれをほのめかしたときにかなり腹を立てたのだと思う。叫んではいなかったが、非常に白熱していた」。ソロス氏の広報担当者はコメントを控えた。
ファルコン氏とハービンジャーが投資家に損害を与えたとして証券取引委員会(SEC)が民事訴訟で提訴した後、同氏は2013年に和解した。同氏と同社は1800万ドル以上を支払うことに同意し、同氏は証券業務に就くことを5年間禁止された。
財務省の現・元職員らはインタビューで、職場はストレスの高い環境にあると述べた。ベテラン職員が過去の政権下で経験したことのない緊張感があるという。
ベッセント氏と働いたことのある人々は、同氏は普段は穏やかに見えるが、不満がたまると職員を厳しく非難することがあると語った。一部の職員は長官と接触する前に同僚に彼の機嫌を尋ねるほか、彼が怒っているときに避ける方法を教え合っていると話した。ベッセント氏がオフィスを離れているときに安堵(あんど)感を覚えたと言う職員も複数いた。
ベッセント氏は自身の首席補佐官を3人交代させ、6月にケイト・ティレル氏に落ち着いた。事情に詳しい関係者らによると、最初の首席補佐官であるダン・カッツ氏はベッセント氏と衝突した高官の一人だった。同氏は2025年秋に同省を去り、国際通貨基金(IMF)の高官に就任した。
一部の関係者によると、ベッセント氏は、会議中にカッツ氏が政策について助言した際に激高することがあったという。
カッツ氏は文書で、ベッセント氏は成功した投資家としての経験を生かし、「規律、明確な判断、そして強い緊迫感」を持って意思決定に臨んでいたと述べた。自身は国際金融における重要な役割にキャリアアップするため退職したと説明した。
トランプ氏のタフガイ
元財務省職員らによると、ベッセント氏は「タフガイ」のイメージを構築することを楽しんでおり、トランプ氏の他の側近との口論に関する報道を面白がっていた。複数の補佐官に対し、政権高官との口論に関するニュースを読んだかどうか尋ねたこともあるという。
現トランプ政権の初期、ベッセント氏は内国歳入庁(IRS)を巡る意見の相違からホワイトハウス西棟でイーロン・マスク氏と激しい言い争いになり、周囲の人によって引き離されたことがある。2025年9月の非公式な夕食会では、住宅金融当局トップのビル・パルト氏と衝突。パルト氏がトランプ氏に対する自身の立場を失墜させようとしているとの疑惑を巡り、身体的な暴力をちらつかせた。
「アレクサンダー・ハミルトンにまでさかのぼる歴代財務長官には決闘の歴史がある」。CNBCのインタビューでパルト氏との口論について尋ねられた際、ベッセント氏はこう冗談を飛ばした。「今回は財務省側にとって少し良い結果となった」
ある政権高官とトランプ氏の側近によると、ベッセント氏はハワード・ラトニック商務長官とも衝突しており、ラトニック氏の職務能力に疑問を呈したこともある。昨年、政権高官がよく訪れるワシントンの会員制クラブ「ネッド」で、ラトニック氏はベッセント氏に2人で話ができないかと尋ねた。「いや」とベッセント氏はぶっきらぼうに答え、背を向けた。このやり取りを目撃した人物が明かした。
ラトニック氏はWSJに対し、ネッドでは2人の意見の対立はなかったと話した。「あの晩、私たちは一緒に大統領と話をした。スコットは政権の主要メンバーであり、トランプ大統領の政策課題を推進することに尽力している」

仕事に対するベッセント氏の攻撃的な姿勢は、トランプ氏からの評価を高めてきた。かねて要求の厳しいボスとして知られるトランプ氏は、ベッセント氏の威勢の良いイメージが好きだと側近らに語ってきた。ある政権高官によると、ウォール街のアナリストらからの批判にもかかわらず、トランプ氏は債券市場に介入するベッセント氏の動きを支持したという。
トランプ氏はほぼ毎日ベッセント氏に電話をかけていると、2人の会話に詳しい関係者らは明かした。ベッセント氏は、度重なる関税の引き上げなど、自身が賢明でないと考えるアイデアを大統領に思いとどまらせることができる数少ない政権高官の一人だと、一部の関係者は語った。あるホワイトハウス高官によると、ベッセント氏は他の政権高官に対し、大統領に自身の組織が機能不全だと見られたくないと語っているという。
大統領は側近らに対し、ベッセント氏は市場を落ち着かせるのが得意だと自分は考えていると語っている。本人には長期金利を引き下げる方法を見つけるのを手助けするよう促してきた。しかし4月にネバダ州で開かれたイベントでは、トランプ氏はベッセント氏を気難しいと表現し、彼を「大スター」にしたのは自分だと自負した。
「私はモンスターを生み出してしまった」とトランプ氏は冗談を言った。
ベッセント氏と側近らは、彼の公のイメージを守るために動き、報道を巡って公式・非公式の場で記者らと衝突してきた。財務省の現・元職員らによると、同氏は気に入らない記事や見出しを巡り、広報スタッフに怒鳴り散らしているという。
WSJが書いた国債買い戻しに関する記事にベッセント氏が異議を唱えた後、財務省はある記者会見でWSJの記者の出席を拒否した。その会見では、同氏が経済制裁の強化を通じてイランを孤立させる計画を発表した。
同省はまた、ノースカロライナ州で開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を取材するWSJ、ニューヨーク・タイムズ、ブルームバーグの記者らの取材許可を取り消した。ベッセント氏は自身に関する3社の報道に不満を漏らしてきた。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道に対しても異議を唱えており、最近の米アクシオスのインタビューではFTを「不名誉な出版物」と呼び、「反米」だと非難した。
昨年12月にワシントンのレストランで、リベラル派団体「コード・ピンク」の関係者が食事中のベッセント氏の邪魔をし、トランプ政権の経済制裁政策を批判した際、同氏は彼らを無知だと呼び、彼らを排除しなかったレストランのオーナーに怒りをぶつけた。このオーナーと近くにいた客によると、ベッセント氏は立ち去る前に自分の食べ物に唾を吐いたという。
「人々が彼の行っていることに正当な疑問を投げかけると、彼は人身攻撃に逃げる」と、前述のビーコン・ポリシー・アドバイザーズのマネジングパートナー、マイロー氏は述べた。「人々はその役職に、さほど怒りっぽくなく、退屈とも言えるような人物を求めている」
2025年6月、財務省がメキシコの金融会社3社に制裁を科した翌日、同国のクラウディア・シェインバウム大統領は記者会見で、これらの会社が違法なオピオイド取引に関連してマネーロンダリング(資金洗浄)を行っていたという証拠を示すよう求め、「私たちは誰のピニャータ(棒でたたき割るくす玉)でもない」と述べた。
ベッセント氏は財務省職員を責(しっせき)し始め、シェインバウム大統領の発言に公に反論するよう求めた。メキシコ駐在の同省職員は、ベッセント氏の補佐官らから彼の不満を記した複数のメールを受け取った。
メールのうち1通を受け取った人物によると、ベッセント氏の補佐官の一人は、長官は取り乱していると述べていたという。
(転載貼り付け 終わり)
副島隆彦拝
