抜歯による損失 DBA「間違いだらけの抜歯矯正」より
抜歯による損失 DBA「間違いだらけの抜歯矯正」より
1992年第1版が出版されている
「医学生のための歯科矯正学」医歯薬出版発行で
山内和夫、作田守編集の教科書には、
「抜歯による目的と損失」というタイトルで説明がなされている。
「矯正治療の目的である顔貌線の均衡と調和、
治療後の歯列弓の安定、健康は口腔組織、
能率的な咀嚼機能を得るために行うものである。」と説明があり、
その後に利点として3つ、損失として6つの事項が書かれている。
30年ぐらい前の本には、
メリットの数より多いデメリットが書かれているのに、
現在の本ではデメリットのことは消されていまっている。
このナゾは何であろうか。考えてみて頂きたい。
デメリットは次の6つが書かれている。
1.歯列の連続性を失う。
2.口腔容積を小さくする
3.症例によっては咬合の安定が難しい
4.歯の移動量が大きくなり、
歯周組織や歯根に対する為害作用が増大する
5.前歯部の被蓋が深くなり易い
6.症例によっては老人性顔貌を招来する
また、抜歯が正しく適応されなかった場合、
あるいは抜歯後の矯正治療が適切に行われなかった場合には
7.抜歯空隙への現在歯の傾斜
8.口頭干渉
9.歯周ポケット
10.空隙
11.上下顎前歯の後方けん引に伴う舌側傾斜
12.大臼歯の過剰な近心移動が生じる可能性
などが指摘されている。
これらは機能的なことであって、美容上の問題などを含めると、
まだまだ多くの問題がある。
機能的な面は歯と歯槽骨との関係の話であるが、
美容上のことは筋肉の問題になってくる。
静的な美容と動的な美容とがあり、
この区分もはっきりさせておくことが必要だ。
静的美容とはEラインの話である。
口を閉じた時の横顔が1本のライン上以内になるのが良い
とする説である。この説も科学的根拠があるわけではない。
笑えば、たちまちEラインは崩れるし、
鼻を高くする美容整形を少し受ければ
たちまち改善する程度の話だ。
それよりも正面の顔とか、笑顔や会話というものは動的な美容であり、
この活動的な美でなければ暗い陰気な顔と表情になる。
これは表情筋の話となることで、その作用と解剖学的なこと、
生態観察の視野がいるのである。
つまり歯ならびで、しかも4本も抜歯すれば静的美容も動的美容も
すべて良くなるというものではない。
逆に悪化させていることの方が大きい。
これは歯を抜くからであり、
歯は原則的に抜かないという方向で行かないといけないのである。
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