抜歯をして矯正すると・・DBA「間違いだらけの抜歯矯正」より
DBA「間違いだらけの抜歯矯正」より
抜歯して矯正をすると 次のような多くの問題が生じてくる。これはデメリットというよりマイナスのことなのである。デメリットとはメリットがないということであるが、メリットがないだけどころか大きなマイナスである。医療訴訟において問題になるのはマイナスを生じたときのことだけであり、マイナスになっていないことはクレーマーとしての問題になる。したがって、このようなマイナスになることには十分に気をつける必要があるのである。
抜歯すると歯列の連続性を損なう 正常咬合は何かということを研究し、統計を取り、ストレートワイヤー法の理論ができ上がった。この労をとったのがアンドリウスであり、「6つのカギ」として6項目の調査は有名な話である。この結果を1972年に発表し、ストレートワイヤー法の開発へと進んでゆく。実際の臨床において、ぺリオとか補綴の治療をするにつけ、歯ならびの連続性の重要性は十分に認識していることと思う。一歯体二歯の関係が上下の歯の間に存在していて、臼歯部では7つあるのが正しい。正しい咬合のためには、咬合面と頬側、舌側面などに段差があってもいけないし、コンタクトポイントで接していないといけないのである。ところが歯を抜歯すれば一歯体二歯の上下の関係が崩れてしまう。
口腔容積を小さくしてしまう 4本も小臼歯を抜歯すると大きな歯間空隙ができる。しかも、抜歯基準なるものはフルバンドの時代のものだから、バンドの空隙分まで含めると4ミリ以上のディスクレパンシーの場合は抜歯をしないといけないことになってしまう。現在はバンドの時代ではなく、直接接着の時代であるから、この基準で抜歯すると大変大きな空隙がすぐにできる。空隙ができることは食事の時も都合が悪いし、見た目もよくない。それと犬歯から犬歯の6本を全て6ミリから8ミリ動かさないといけないことになる。この作用は大変であり、痛みの出現や根の吸収の問題、ひどい時には神経が死んでしまうことも生じる。これだけの危険を犯して、全ての歯に隙間がなくなれば、口腔容積は小さくなってしまう。このため、口腔容積の狭い中へ舌が押し込まれる。舌は喉の奥の方に押し込まれるか、口を開けるか、そういう正常でない方向になってしまう。若い時に歯を失えば一生の間このようなことで苦しまなければならなくなる。
為害作用が増大 小臼歯1本の幅は約8ミリである。この小臼歯のところに犬歯を、犬歯のところに中切歯をというように順次動かして行く必要があるのが、4本の小臼歯抜歯をする抜歯矯正である。8ミリも動かすということになると、根の吸収が起こりやすい。根が完成している場合は根を溶かしてまで動かさないといけない。それが根の完成である。場合によっては神経などが切断されるようなことも生じる。(成人の場合で)ぺリオのある場合は抜歯をすることにより、より悪化してしまうのである。
(続く) (DBAより)
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