乳歯の側方拡大は禁止!(DBA「間違いだらけの床矯正」より)
乳歯の側方拡大はするな(DBA「間違いだらけの床矯正」より):乳歯の臼歯部の側方拡大をしてはいけない。何故、こんな馬鹿げたことをするのであろうかと思う。人類に近いゴリラの歯列やチンパンジーの歯列を見ればハッキリする。犬歯は反対咬合になっていて、前歯の4本と臼歯の8本とは完全に分離されている。犬歯の部分の拡大ができなければ、ここでブロックされてしまうのである。前歯部が萠出しているだけの時、臼歯部を側方拡大してもメリットは何もない。それどころかデメリットとして問題あることにしてしまう。しっかり咬合していることこそ奥歯の臼歯の役目である。臼歯部はグラインダーの役目があり、すりつぶすことが役目なのだ。顎に少しの遊びがあるため、少しは左右に動くけれども、前後のように動くわけではない。しかも動けるのは下顎のみである。上顎は顔面骨の中に歯が生えているのであり、頭蓋骨とがっちりつながって一体となっているから、上顎骨と歯は動くことは不可能なのである。ところが、顔面骨より脳頭蓋の方が先に大きくなる。脳の方が早く発育してしまうのである。大体6歳のときに、80%から90%の大きさに脳頭蓋はなっている。ところで、下顎骨は顎関節で頭蓋骨とつながっているのである。そこには顔面骨でなく脳頭蓋の方なのである。側頭骨はぐんぐん大きくなるのに、顔面骨は大きくならない。しかし、それでは顎関節がおかしくなるわけだから、下顎骨の下顎頭などは大きくなって一致している。こういうことであるから、非常に微妙なシステムを理解しなくてはならないわけだ。下顎骨というのは顎関節部では頭蓋骨の影響を受ける。しかし、歯の部分は成長していないということになると、そこでの調整するものがないとうまくゆかない。それが歯槽突起といわれる歯槽骨なのだ。歯槽骨は成長したり、劣化したりする。咬み合わせを切り離した形になっているといってよかろうと思う。このとき、下顎は動くことができるけれども上顎は動くことができない。したがって、下顎はあまり変化できないようなシステムを作り上げているのが自然なのである。顔の成長を見れば分かるが、前後上下に成長するのであって、横への拡大はない。6歳を過ぎてからの成長はそのことがかなりハッキリしている。つまり、側方に拡大してはいけないのである。歯列の連続性は前後であって、左右はバラバラに切れている。つまり、連続性を維持するようになっているのに、断ち切ってしまっては咬合関係は無茶になる。側方拡大を急激にすると、すれ違い咬合になってしまうのである。すれ違い咬合まで行かなくても、2ミリ側方拡大すると臼歯部の咬合力は5分の1以下になってしまうのである。このような破壊行為が医療行為であろうか。ましてや、治療行為であろうか。
(DBA「間違いだらけの床矯正」より)
カテゴリー
歯科矯正コラム一覧
- 「⑭ 十二 種々相(しゅじゅ‐そう)「手仕事の医療 評伝 石原寿郎( いしはら としろう) 秋元 秀俊 (著) 」を読む」2025/4/17「歯科を職業とする人には、是非読んでいただくことをお願いする。」
- 「トウシの大切さ」・・・投資(とうし)・投歯(とうし)
- ⑬「十一 渡米」
- ⑫「十 運動軸(うんどうじく)」・・・「手仕事の医療」(てしごと の いりょう)
- ⑪『九 下顎運動』(きゅう かがくうんどう)・・・「手仕事の医療」(てしごと の いりょう)
- ⑩「八 ナソロジー」
- ⑨「七 ゆきづまり」
- ⑧「六 中心感染(ちゅうしんかんせん)」2024/11/4/up
- ⑦「手仕事の医療 評伝 石原寿郎 秋元 秀俊 (著) 」を読む・・・「五 銅合金」
- 『(歯科医院での)専門的口腔ケアは「インフルエンザ予防」に効果的なんです。』日本歯科医師会のHPより