「悪魔のサイバー戦争を始めるバイデン政権」
古村治彦の最新刊『悪魔のサイバー戦争を始めるバイデン政権』(秀和システム刊)(2021年5月29日に発売)
をご紹介します。日本政府の中枢もこのような正確な分析を先ずして、それをマスコミを使い、国民に正確に伝える努力をしなくてはいけません。急激に勃興した「中国」と衰退著しい(近未来に3分裂するといわれる)「米国」の狭間にあって、健全なる「地政学」に立脚した、(小国として)「面従腹背(めんじゅうふくはい)」に徹したある種の質の高い「アイデンティティー」(独立精神)を実践していかねば、国が消滅してしまうし、国民が、無意味に貧困に喘ぎ、あまりにも「哀れ」だろう。米国頼り一辺倒からの脱出は、急務で、一般国民からの激しい突き上げも場合により必要なのではないだろうか?(米国内で行われた「巨大不正選挙」がきちんと始末、粛清できないのであれば、資本主義経済のなだらかな変質向上(軟着陸?)はおろか、我々が「現状最上の政治体制である」として教育された「民主政治体制」がもはや机上の空論以下の、「ウソ」の、否、腐敗しきった「政治体制」であるという事で、崩壊消滅した「社会主義」「共産主義」による「政治体制」にも劣る、「政治体制」という事になる。)現状では「世間の評判が悪い自民党幹事長である二階俊博(にかいとしひろ)氏」の政治運営は、もう少し高く評価されてもよいと思う。国民として、高く評価しなくてはならない。
http://www.snsi.jp/tops/kouhou
「あとがき:民主政治体制(デモクラシー)と資本主義(キャピタリズム)に対する懸念と不信感が世界規模で拡大している。私は、日本とアメリカで学び生活をしてきたが、民主政治体制と資本主義に対して疑念を持つことはこれまでなかった。当たり前にあり、かつ素晴らしいものであり、完璧な制度ではないにしても、他の政治体制や経済体制よりははるかに素晴らしいもの、という認識であった。本書を読んでくださった多くの皆さんも同じだと思う。まえがきで取り上げたが、米中の外交トップ会談の席上、中国共産党外交担当政治局員の楊潔篪(ようけっち)はアメリカ側に対して、「米国の人権は最低水準だ。米国では黒人が虐殺されている。米国が世界で民主主義を押し広めるのを止めるべきだ。米国にいる多くの人が米国の民主主義をほとんど信頼していない」と述べた。駐日本中国大使館は2021年4月2日にツイッター上で、アメリカに対して「国外で民主を喧伝(けんでん)し、国内で人権を蹂躙(じゅうりん)し、米国の分断はここでも顕著だ」とも書いている。アメリカ国内では、2020年の大統領選挙で、不正選挙 electoral fraud が行われたので、その結果を認めない、受け入れないという人の数は多い。選挙は民主政治体制の根幹であるが、それに対する信頼感が消え去れば、民主政治体制が崩壊する。また、アメリカをはじめとする先進諸国では格差の拡大によって、資本主義に対する不信感も高まっている。アメリカの若い人々、ミレニアル世代で社会主義的政策を支持する割合が高まっている。こうした中で、アメリカ国内の分断はより深刻化している。2021年1月に発足したジョー・バイデン政権について、日本では突っ込んだ分析がなされていない。目の前の、日本国内の新型コロナウイルス感染拡大対策と東京オリンピック・パラリンピックにばかり人々の関心が集まっている。それはそれで仕方がないことだ。しかし、アメリカの動きは、日本の行動にも影響を与える。バイデン政権がどのような政権なのかということを知ることは、日本がこれから進む方向や取るべき行動について考える際に、必要不可欠である。本書の前半部で書いた通り、バイデン政権は「4年越しのヒラリー政権」「第3次オバマ政権」である。中露との対決姿勢を鮮明にし、衝突も辞さない構えである。それに中国の周辺に存在する日本を含む同盟諸国を巻き込もうとしている。アメリカ単独で中国と対峙する力は持っていない。アメリカの衰退は明らかになっている。この状況において日本はどう行動すべきか。選択肢はほぼない。なぜなら、日本はアメリカの属国 tributary state であって、アメリカの命令通りに行動しなければならないからだ。アメリカが中国封じ込めに周辺の同盟諸国を動員するということになれば、日本は中国との対決の先兵として使われる。米軍が中国軍と直接接触するということは大変なことで、それは最終段階のことである。その前の段階として日本とインドがまず接触(衝突)させられる。日本は中国との衝突の衝撃や損害をできるだけ小さくしなければならない。属国などはどうせ使い捨てだ。中国と本気になって衝突して、アメリカが後詰(ごず)めで助けに来てくれるとは限らない。それどころか、調子に乗って二階に上ったらはしごを外されて降りられなくなった、その間に米中が日本を悪者ということにして手打ちということが起きることも考えられる。
『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策Ⅰ・Ⅱ』(スティーヴン・M・ウォルトとの共著、副島隆彦訳、講談社、2007年)で、シカゴ大学教授のジョン・J・ミアシャイマー John J Mearsheimer(1947年― 73歳)は、自著の『大国政治の秘密 The Tragedy of Great Power Politics 』(奥山真司訳、五月書房、2007年)の中で、既存の国際関係を変化させるような新興大国の勃興が起きた際の他国の取るであろう複数の戦略「バランシング balancing 」「バンドワゴニング bandwagoning 」「バック・パッシング buck-passing 」について説明している。バランシングとは、台頭しつつある大国と対峙し、その伸長を抑止する戦略である。そのためには直接的な衝突も辞さない態度を取る。また、自国以外にも脅威を感じている国々を糾合(きゅうごう)することもある。バンドワゴニングとは、台頭している大国に追随する戦略であるが、この戦略はあまり選択されない。それは追随することになった大国に生殺与奪の権を握られてしまうからだ。現在の日本の属国としての惨(みじ)めな姿を見ればそのことが実感できる。バック・パッシング(うしろに球を送る)とは、台頭する大国に対して、アメリカは自分が直接対峙することなく、他国に対応させることである。現在、アメリカが行おうとしているのは、バック・パッシングだ。日本という属国でありながら、世界第3位の経済力を誇る、使い勝手の良い国である日本に、中国との直接的な衝突は任せるという態度だ。ミアシャイマーは「脅威を受けた側の国は、ほとんどの場合、バランシング(直接均衡)よりもバック・パッシング(責任転嫁)を好む。戦費の支払いを逃れることができるからである」(187ページ)と書いている。アメリカは、日本に負担を強いることで、自分たちに火の粉がかからないように巧妙に立ち回っている。アメリカから負担を押しつけられるならば、日本はアメリカに服従する姿勢を派手に見せながら、裏で中国とつながっておくべきだ。これを「面従腹背(めんじゅうふくはい)」と言い表すことができる。大相撲で八百長スキャンダルが起きたが、八百長を仕組んでおくことである。「ここで適当にぶつかりますんで、うまくかわして後は流れで双方が怪我(被害)が少ないようにしましょう」ということを中国と企んでおく。「アジア人のためのアジア」「アジア人どうし戦わず」が理想だが、どうしてもぶつからねばならないとなれば裏でつながっておくということが重要だ。米中どちらに賭けるかという賭博だと考えるならば、どちらにも賭けておく、それで掛け金の損失を少しでも少なくする。一種の悪賢さが必要だ。世間の評判が悪い自民党幹事長である二階俊博(にかいとしひろ)氏は、中国とのチャンネルを維持する役割を果たしていると思う。だから、日本国内のアメリカの息のかかったマスコミにバッシングをされている。本来、日本は米中どちらにも自分を高く「売りつける」ことができる位置にある。より行動の自由があれば、中国に対しては「アメリカにつくぞ」という姿勢を見せて、アメリカに対しては「中国につくぞ」という姿勢を見せて、より良い条件を引き出すことも可能だ。しかし、悲しいかな、日本は敗戦国であり、アメリカの属国である。そのことを変えることは至難の業だ。だからある程度までアメリカにお付き合いをしなければならないが、裏では中国ともつながっておく。そのためにまず現状を認識しておくことだ。「日本は世界に冠たる大国で、アメリカと対等の同盟関係にあって、日米関係は世界で最重要の同盟だ」などという美辞麗句に惑わされて、調子に乗ってはいけない。「日本が勇ましさを出す時は必ず失敗する」くらいの認識で慎重に行動する。また、「敗戦国ですから、一度皆さんにご迷惑をかけた身ですから謹慎しておきます(軍事行動はしません)」という論理も使える。アメリカはそのような論理はもう許してくれないが、それでもこの論理を捨てずに主張することで周辺諸国との協調を図ることができる。あまり景気の良い話にならないのは残念であるが、戦争に向かう流れの中で、日本はできるだけ被害や損失を少なくするということを真剣に考えねばならない。最後に。本書執筆にあたり、そのきっかけを下さった、師である副島隆彦先生に感謝します。出版を引き受け、先導してくださった秀和システムの小笠原豊樹氏にも心からの感謝を申し上げます。ありがとうございます。2021年4月 古村治彦」
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