「【生命】とはエントロピー増大の法則に抗う営み?」 | きたざわ歯科 かみあわせ研究所
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「【生命】とはエントロピー増大の法則に抗う営み?」


【生命】とはエントロピー増大の法則に抗う営み?

福岡伸一氏の『動的平衡』と

都築卓司氏『マックスウェルの悪魔』

から妄想する反エントロピー戦線

福岡伸一氏『動的平衡』の最終章まで読み進めた。エントロピー増大の法則=無秩序へ向かう宇宙の趨勢とこれに抗う生命という秩序の構図。思い出したのは都築卓司氏『マックスウェルの悪魔』。秩序を取り戻すマックスウェルの悪魔が人間の中に巣食っているのでは?と問う。この2つを繋げて妄想を愉しむ反エントロピー戦線。

『動的平衡』最終章

生命とは【分子の流れの中の密度の高い淀み】にすぎない?福岡伸一氏『 動的平衡』によるパラダイムシフト
「自分」と認識しているはずの自分の身体は日々作り替えられている。半年も立つと以前の自分と全く異なる分子でできた今日の自分になっている。福岡伸一著『動的平衡」によると生命とは【たまたまそこに密度が高まっている緩い分子の淀み】にすぎないらしい…

これまでの章で生命とは「次々にその中身を入れ替えながら一定の平衡を保つ【動的平衡】」=分子の流れの淀みにすぎない・・・と説いた福岡伸一氏は

最終章でさらに畳み掛ける。

  • エントロピー増大の法則は「宇宙の全ての現象は乱雑さが増える方向にしか進まない」という摂理
  • これと対比して生命を以下のように表現する。

だから、生命は、増大し続けるエントロピーを絶えず系外に捨て続けることで、不安定ながら、見かけ上、ある一定の期間、崩壊しそうになるたびに秩序を作り直す・・・つまり、まさにベルクソンの言うとおり、物質の下る坂を登り返す努力を続けている。

『動的平衡』福岡伸一著

ベルグソンの円弧

この後、ベルクソンの「物質の下る坂を登り返す努力を続けている」の言葉を『ベルクソンの円弧』としてモデル化する。

坂の途中にある円弧。それでも「右下の無秩序に向かって転げ落ちていかない」秩序維持のモデル。

坂の上 エントロピー小 秩序
坂の角度 エントロピー増大の法則 秩序から無秩序への趨勢
坂の下 エントロピー大 無秩序

この「一部が開放された円弧」は、坂道に接している下側の部分が少しだけ先に分解する。その次に少しだけタイミングをずらして上側の解放端が追加合成される。

この分解と合成の繰り返しにより円弧には左周りに回転しようとする力が働く。これが水色の矢印で示す斜め上向き=秩序維持へのベクトルとなる。これが、坂の下に転げ落ちようとする灰色のエントロピー増大のベクトルと均衡した時に『動的平衡』は成り立つとする。

「オートファジー」の機能

さらにこの分解と合成そのものがオートファジーとする。ノーベル賞受賞の大隈教授のオートファジーを『動的平衡』=秩序を維持する機能として示す。

「個体の死」の意味

さらに個体の死を坂道を転げ落ちる『ベルクソンの円弧』として意味付けする。

少しずつ捨てきれないエントロピーが系の内部に残存・蓄積し、捨てようとする営みも鈍ってくる。

細胞の現場に目を向ければ、捨てきれないエントロピーとは、膜やタンパク質の酸化、変性、凝集、老廃物の蓄積などとなる。・・・

坂を登ろうとする努力が尽きたとき、細胞もしくは個体は死を迎える。つまり坂の下方にずるずると引きずり降ろされ、奈落の底ーつまりエントロピー増大が極まった熱力学的な死の状態ーに落ちる。

『動的平衡』福岡伸一著

オートファジー個体の死についての新しいパラダイムを知る。これがパラダイムシフトの愉しみ。

マックスウェルの悪魔

高校生の頃に読んだ都築卓司氏の『マックスウェルの悪魔』を思い出す。持っていた本は、疾うの昔に手元からなくなっていた。ネットで探してみるとAmazonで売っていた。早速ポチして対比して読む。

エントロピー増大の法則に抗う存在として『マックスウェルの悪魔』を登場させて「確率の低い事象を出現させる」活躍をさせる

  • 混ぜてしまったお酒と水を分ける
  • 有害物質を分離して公害を解消する
  • 速度の違う分子を分離して無限にエネルギーを供給する

都築卓司氏は『マックスウェルの悪魔』という存在を設定することで『混ざったものを分離する』価値を説く。

逆に『混ざったものを分離する』ことが統計的には途方もなくあり得ないことでありエントロピー増大の法則が誰にも抗うことのできないこの宇宙の趨勢であることを確認する。その上で。。。

反エントロピー

都築卓司氏は「その創造力で以下に示すようなエントロピーの極端に少ないものを生み出す人間」を反エントロピーの創造者ではないか?と問いかける。

  • 美しい像を生み出す芸術家
  • 絵画や書
  • 建築や家屋
  • 橋梁や堰堤

人間は・・・その情報量の豊かさ、それを子孫に伝えていく遺伝のからくりの緻密さ、さらに彼らのつくりだす反エントロピーの偉大なることを考えると、生命というものに対しては、いま少し別の説明が必要ではないか・・・

人間の中にもし別のものが巣食っているとしたら。。。それはマックスウェルの悪魔ではあるまいか?

人間自身がマックスウェルの悪魔だ・・・という表現法も、あながち奇抜とは言えないのではないか?

思考の愉しみ

この2冊の本を一緒に並べる。勝手にエントロピー増大の法則に抗う反逆の戦い=反エントロピー戦線に思いを馳せる。

  1. 部分的にでも秩序を取り戻す反逆者としての生命が生まれ
  2. 個体の生命エントロピー増大の法則に飲み込まれて死を迎えても
  3. 種としての生命はしぶとく自己複製して子孫を残すプランBを用意していて
  4. その命を繋いで人間にたどり着いて
  5. 人間知性を生み出し
  6. 次に知性そのものはAIとして人間という軛を脱しようとしていて
  7. いつの日かAI物質という軛をも脱するための戦略を練っている

そんな妄想を膨らませていると、際限なくわくわくしてくる。

反エントロピーへの参戦

生きるとはこの反エントロピーの戦線に参戦することなのかもしれない。まずは「折角、知性という反エントロピーに参戦する武器を手にした人を種として生き延びさせる努力に参画すること」

具体的にはエントロピー増大の現象として人類に襲ってくる可能性のある

  • 気候変動
  • 疫病
  • 地殻変動
  • 隕石
  • 戦争

を、予防し、また生き延びる力を蓄える営み。あるいはそのためのの知性の進化の効率を上げることに貢献すること。ここから反エントロピー陣営への参戦する。