・薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎の「重篤副作用疾患別対応マニュアル」が改訂!
・患者向けのマニュアルと医療従事者向けのマニュアルにはどんなことが記載されている? |
はじめに
厚生労働省は、2025年年3月、薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎の「重篤副作用疾患別対応マニュアル」改訂をしたことを公表した1)。
「重篤副作用疾患別対応マニュアル」は、薬剤による副作用に遭遇する機会が少ない、医療従事者および患者向けに作成されたもの。
重篤な副作用の早期発見・早期対応のため、ポイントとなる初期症状や好発時期、医療関係者の対応等について記載している。
「重篤副作用疾患別対応マニュアル」の中で歯科が関わる部分は、以下の通りである。
・薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎(2025年3月改訂)
・(骨吸収抑制薬に関連する顎骨壊死・顎骨骨髄炎)
・(ビスホスホネート薬剤による顎骨壊死)
・薬物性口内炎(2023年4月改訂)
・抗がん剤による口内炎(2023年4月改訂)
この記事では、改訂されたばかりの薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎「重篤副作用疾患別対応マニュアル」について、簡潔にお伝えしたい。
1)重篤副作用疾患別対応マニュアル一覧 口腔(令和7年3月改定)(厚生労働省)
薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎を患者にどう説明する?
患者向けのマニュアルには、骨粗鬆症や悪性腫瘍(がん)などに使用される薬剤により、引き起こされる「副作用の初期症状」において、一部写真付きで掲載した。
薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎の解説だけでなく、薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎を引き起こす可能性のある薬剤や症状、予防と対処方法についてもわかりやすく記載している。
患者向け「副作用の初期症状」(画像は出典1より引用)
医療従事者向けのマニュアルは、症例写真や画像でわかりやすい!
一方で、医療従事者向けのマニュアルには、2023年に発表された薬剤関連顎骨壊死(以下、MRONJ)のポジショニングペーパーを参考に、MRONJの概要や発症頻度、治療方法、予防方法について症例写真や画像を用いて解説している。
特に、典型的症例については、発生頻度が低く、臨床現場において経験のある医師、薬剤師は少ないと考えられることから、可能な限り時間経過がわかるように記載しているとのこと。
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歯科医療従事者の方々は、薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎の早期発見・早期対応に資するため、ポイントとなる初期症状や好発時期、対応等については一読しておく必要があると考える。
また、骨粗鬆症や悪性腫瘍(がん)の治療を受ける患者や患者の家族の方には、副作用の概要や初期症状、早期発見・早期対応のポイントをわかりやすい言葉で記載している「重篤副作用疾患別対応マニュアル」を活用していただければと思う。