自民党の総裁選挙が10月4日の投開票に向けて最終盤を迎えている。
こうした状況下で、退陣目前の石破茂首相は存在感のアピールに余念がない。
総裁選を横目に国連総会出席のために訪米したほか、それに続く初の訪韓では積極的に首脳外交を展開。
その裏側で、総裁選直後には、自民党内の保守派の反発を承知のうえで、戦後80年の「首相の見解」を公表する考えとされる。
さらに石破首相は、総裁選でも前回の勝利の原動力となった、
いわゆる“石破票”を動かすことで影響力を行使する構えも見せている。
これに対して、各候補も「石破氏の対応次第で総裁選の結果が変わる可能性があるため、
石破氏の出方に戦々恐々としている」(自民党長老)という。
去り際なのになぜか意気軒高
石破首相は、10月15日に召集予定の次期臨時国会の冒頭に予定される
衆参両院での首相指名選挙に先立つ内閣総辞職で、
在任を終えることになる。
そんな“去り際の宰相”が
「わずか1年余りで失意の中での退陣なのに、
なぜか意気軒高」(首相側近)なのは、
「後継者への『政策継承』に意欲と自信があるから」(官邸筋)
との見方が少なくない。
昨秋の衆院選と今夏の参院選で連敗したのに、
与党内の反発・批判をはねのける形で「続投宣言」をぶち上げてから、
すでに約2カ月半。
9月7日の退陣表明直前まで「解散断行」もちらつかせるなど、
「続投への執念を見せつけた首相としての生きざまは
過去に類例がない“石破流”」(官邸筋)とされる。
「だからこそ、退陣表明後も“死に体”にならなかった」(閣僚経験者)との声もある。
その石破首相は、退陣表明後も次々に首脳外交の日程を設定した。
まず、総裁選告示(9月22日)直後の23日に訪米して、
国連総会一般討論演説やその前後の各国首脳との個別会談をこなした。