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瀬戸内寂聴さんのご逝去を悼む「美しい憲法を汚した安倍政権は世界の恥」


瀬戸内寂聴さんのご逝去を悼む


『瀬戸内寂聴が生前、語っていた護憲と反戦…

「美しい憲法を汚した安倍政権は世界の恥」と語り、ネトウヨから攻撃も2021.11.12 05:57

作家で僧侶の瀬戸内寂聴が9日、心不全で亡くなった。99歳だった。すでに多くのメディアが報じているとおり、波乱万丈な恋愛経験や旺盛な執筆活動、あるいは世間からバッシングを受けた著名人にも手を差し伸べるなど、晩年に至っても文壇にとどまらず幅広く活動してきた。しかし近年の瀬戸内寂聴といえば、忘れてはならないのは、反戦・反原発にまつわる活動だろう。著書や講演などで、繰り返し自身の戦争体験を語り、戦争の恐ろしさを忘れつつある日本に警鐘を鳴らし続けた。たとえば2017年に95歳のときに出版したエッセイ集『生きてこそ』(新潮新書)では、自身の過酷な引き上げ体験を語るとともに、〈戦争時の体験のない政治家たちによって運営されている戦後七十年の日本の行方が、日々不安でならないのは、死齢に達した老婆の妄想にすぎないのであろうか〉と危惧していた。2015年に安倍政権が憲法違反の安保法制を強行成立させた際は、胆のうがんを患うなど満身創痍の体調だったが、たびたび集会やデモに参加。そのため、ネトウヨからもたびたび「ババアは死ね!」「戦争反対というなら中国に言え!」「金をもらって集会に出ている」などという卑劣な攻撃を受けてきた。産経ニュースは、国会前で「すぐ後ろに軍靴の音が聞こえる」と命がけで訴えた寂聴を揶揄し、〈聴こえるはずのない音におびえる?「幻聴人」〉などとバカにしたこともある。しかし、瀬戸内はネトウヨの攻撃にもまったく怯むことはなかった。安倍政権と安保法制について「美しい憲法を汚した安倍政権は世界の恥です」「安倍晋三首相と、与党議員たちが強行採決した安保法案は、日本国民を世界中で死なせ、家族を不幸にし、国まで滅ぼすものだと思います」(「女性自身」2015年8月4日号)と痛烈批判したこともある。現在の岸田文雄首相は極右タカ派の安倍晋三・元首相と違ってハト派を標榜していることから希望的観測も見られるが、岸田政権は防衛費増額や敵基地攻撃能力保有も否定していないし、改憲の動きすら見せている。もちろん、違憲状態の安保法制を廃止するような動きなど一切ない。戦争体験者が次々と鬼籍に入り、戦争反対の声がかき消されていくなか、本サイトでは瀬戸内寂聴の戦争や憲法に対する発言をたびたび記事にしたことがある。そのうちのひとつである2017年8月15日の記事を以下に再録するので、あらためてご一読いただきたい。

瀬戸内寂聴が語る戦争体験と反戦、憲法への思い

「美しい憲法を汚した安倍政権は世界の恥」
2017年8月15日は72回目の終戦記念日となる。しかし戦後70年以上の時を経て、戦争の記憶と反省が失われつつある。テレビや雑誌などメディアでも、戦争の記憶を語り継ぐための企画は年々少なくなっている。そんな風潮に抗い自身の戦争体験を語る、仲代達矢、桂歌丸、市原悦子らの声を、本サイトでは紹介してきた。もうひとり、熱心に自身の戦争体験を語り、戦争の恐ろしさを忘れつつある日本に警鐘を鳴らし続けているのが瀬戸内寂聴である。瀬戸内は新刊エッセイ集『生きてこそ』(新潮社)のなかで、自身の戦争体験についてこのように語っている。〈北京で中国古代音楽史の研究をしていた夫は三十一歳にもなって、突然北京で応召した。まだ誕生日も迎えていない女の子をかかえ、私は初めて戦争のむごさを、身をもって思いしらされた。夫が出征して二ヵ月すぎた時、何の予告もなく夫は無事に帰ってきた。着の身着のまま子どもだけかかえて帰国してみれば、故郷の徳島の町はまる焼けになっていて、母は防空壕で焼け死んでいた。夫の家も焼けて姑は義兄の住む愛媛に移っていた。焼け跡に父と姉で手造りで建てた家がぽつんとあった。私たちは親子三人そこへ居候するしかなかった。二人の男の子を残し、出征した義兄は、ソ連へつれていかれたとシベリアからハガキが一枚来ただけだという。知人の家でもさまざまな苦難に耐えていた〉無事に引き揚げられはしたが、故郷では家も家族も失ってしまった。防空壕では母だけでなく祖父も亡くなっていた。そして終戦の日には〈日本人は皆殺しにされるだろうと、その夜は一睡もできなかった〉(前掲『生きてこそ』)という。そういった悲惨な体験をしているからこそ、子どもや孫の世代に同じような経験をさせたくないという思いが強い。そのために、彼女はメディアを通して、先の戦争でいかに人々がつらい思いをしたかということを伝えてきたのだが、そういった活動と反比例するように、現在この国は着実に先の戦争で得た反省を無きものにし、再び戦争ができる国へと生まれ変わろうとしている。瀬戸内寂聴はそういった傾向を危惧している。〈戦争時の体験のない政治家たちによって運営されている戦後七十年の日本の行方が、日々不安でならないのは、死齢に達した老婆の妄想にすぎないのであろうか〉(前掲『生きてこそ』)この文章のなかで瀬戸内の頭に想起されている〈戦争時の体験のない政治家たち〉のひとりは、いうまでもなく安倍晋三だろう。事実、瀬戸内寂聴はかつて「美しい憲法を汚した安倍政権は世界の恥です」と痛罵したこともある。それは、「女性自身」(光文社)2015年8月4日号でのこと。このインタビューのなかで瀬戸内寂聴はさらにこのように語っている。「安倍晋三首相と、与党議員たちが強行採決した安保法案は、日本国民を世界中で死なせ、家族を不幸にし、国まで滅ぼすものだと思います」「これだけ国民に反対されていることを自覚しながら、”戦争法案”を押し通した安倍首相の神経は理解しがたいですね」安保法制に反対する文化人・芸能人のなかでも、ここまで強い調子で安倍首相を非難できる人間はそう多くないだろう。そして、瀬戸内はこうまで言い切っている。「多くの国民が安保法案に反対したという事実、そして安倍首相と政府与党がどれだけ横暴なことをしたのかという事実は、歴史に刻まれます」安倍晋三のような首相ができあがったのも、それに共鳴する人間が増えたのも、ひとえに国民が戦争の恐ろしさを共有できなくなっているという状況が根底にあるのは間違いない。先月に亡くなったばかりの、聖路加国際病院名誉院長・日野原重明氏もまた同じような危機感を抱いていたひとりだった。彼は、高齢者が健康的で活発な生活を送るためのサークル「新老人の会」をつくり、現在では1万人以上の会員を擁する組織となっているが、瀬戸内寂聴も参加するその会でつくった本について彼女はこのように語っている。〈日野原重明氏提唱の「新老人の会」というのは、七十五歳以上の元気で前向きな生き方のできる老人たちの集まりである。その人たちは戦争体験者なので、余生は戦争の記憶を綴り戦争を知らない若者に伝えたいと念願して戦争体験記の本を出した。それは真面目な立派な記録だけれど、今の若者たちにどうやってそれを読ませるかが問題である〉(前掲『生きてこそ』)また、そもそも、体験として戦争を語ることのできる人がどんどん減ってきてしまっているという問題もある。たとえば、水木しげる、永六輔、大橋巨泉、野坂昭如、ペギー葉山、野際陽子など、ここ数年だけでも戦争体験を盛んに語り継いでいた文化人や芸能人がどんどん鬼籍に入ってしまっている。だからこそ、いま語り残される戦争の記憶はとても重要なものであり、そこで語られる証言を我々は胸に刻み込むべきだろう。
(編集部)』